Ms.Violinistのひとりごと-クレモナのヴァイオリン工房 大木裕子
(2010年(平成22年)12月17日(金):毎日新聞(朝刊))
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度々の失言にスキャンダル。危険水域の内閣支持率。
進む高齢化。財政危機。そして与党の分裂と政治の大混迷。
あまりにもそっくりでびっくりのイタリアと日本。
でも、向こうは大物政治家が仲間たちと与党をすでに離脱。
こっちは、そういうのもあるかも、の段階だから、向こうが
先を行っていると言えなくもない。

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さらに、その大物政治家が内閣不信任案を野党といっしょに
国会へ提出。結局、否決され首相の首はつながったけれど、
その差はたったの3票。解散、総選挙はいつ?
政権をとるのは? ざわざわしている。
だけど、いくら何でもイタリアと比べられるのはねえ、って?

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ミラノにあるボッコー二大学のボエリ教授が、
イタリアの現状とやるべきことについて、
こんなふうに書いていた。  

「世界の主要20ヵ国中、金融危機後の経済が
イタリアより悪いのは日本くらい。これほど低迷し、
財政が悪化した元凶は成長力の弱さにあるけれど、
政権は求められている構造改革に手をつけることなく
30ヵ月も無駄にした。
景気が悪い時に改革を行うのは確かに難しい。
それでも欧州では多くの国が実行した。
改革のためにはまず、国民に現実がどれだけ危機的かを
ありのまま説明し、わかってもらわないと。
野党にも、責任ある行動を求める必要がある」

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思い当たるふし、ありすぎ。で、先を行っている感じの
イタリアが今直面している状況はといえば、
「ギリシャ、アイルランドに続く財政破綻候補」として
市場に目をつけられ、国債が売られ始めている。

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「不信任案に賛成して私を辞めさせたら、
この国はいよいよ売りたたかれギリシャのようになる」。
ほとんど脅し文句で支持を迫った向こうの首相。
そんな場面、こっちではないようにしないとね。
(ende.)

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