Ms.Violinistのひとりごと-ニュルンベルクのマイスタージンガー CD
(2010年(平成22年)10月7日(木):毎日新聞(朝刊))
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ドイツの作曲家ワーグナーのひ孫で、
演出家でもあるカタリーナ・ワーグナー氏(32)が、
ホロコーストで犠牲になったユダヤ人との和解を求めて
イスラエル訪問を計画したものの、現地で猛反発にあって
訪問を断念したことが分かった。
ワーグナー家はナチス時代、ヒトラーなどと親密な関係に
あったためで、ホロコーストをめぐる和解の難しさが
改めて表面化した。

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カタリーナさんは2009年から、ワーグナーの楽劇を
7~8月に連続公演する独バイロイト音楽祭の総監督に就任し、
過去の歴史を洗い直す改革を進めている。
イスラエルで反発を招いたのは、
カタリーナさんの提案でバイロイト市が来年計画している
イスラエル室内管弦楽団の演奏会。

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カタリーナさんは、今月中旬に
同楽団が拠点を置くテルアビプを訪れ、楽団を正式招待、
さらに記者会見で企画を紹介し、
ワーグナー家の歴史責任についても釈明するつもりでいた。

だが、このことがイスラエル紙に報道されると、
ホロコーストの生き証人らが
「招待に応じることは敗北宣言だ」などと反発。
バイロイト市によると、カタリーナさんと市長は、
緊急協議し、「現地感情」を配慮して訪問を断念したという。

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市は記者会見の会場をベルリンに移して
計画を実現させる方針だが、
イスラエルでは、楽団員の多数が実際にバイロイトを
訪問するかどうかが疑問視されている。

ワーグナーはユダヤ人差別の文書を残しており、
後代のワーグナー家もヒトラーと深い関係にあった。
イスラエルでのワーグナー演奏はタブー視されている。
(ende.)

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