Ms.Violinistのひとりごと-かーかん、はあい 子どもと本と私 俵万智
(2010年(平成22年)8月15日(日):毎日新聞(朝刊))
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歌人の俵万智先生が、子育てについてつづった本を
相次いで出版している。
今春、小学生になった6歳のご長男との会話を通じて、
幼児の言葉の面白さに気づき、多くを学んだという。
子どもの言葉の魅力やそのはぐくみ方について、
俵先生に聞いた。

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今年に入って出したのは、長男に読んだ本を紹介した
「かーかん、はあい 子どもと本と私②」、
子育てを詠んだ歌とエッセイを集めた「たんぽぽの日々」、
そして子育てエッセイ集「ちいさな言葉」の3冊。

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書かれているのは、
一人前の口をきき始めた幼児期のご長男との愉快なやりとり。
おやつをねだるので午後3時まで待つよう諭すと
「キモチが3時なの!」。
おんぶを「背中でだっこして」と表現したことも。
水たまりの上を「ジャーッ」と走る車のそばで、
「雨の日は車の音がかっこいいんだよねー」と喜ぶ様には、
感性の豊かさを標じたという。

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「語彙がなければ言葉を組み合わせて意思を伝えたり、
作為なく、さらりと途方もなさが出せていたり。
まっさらな目でものを見る姿勢は、私も忘れては
いけないなと思う」と話す。

Ms.Violinistのひとりごと-たんぽぽの日々 俵万智
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心がけたのが、一緒に絵本を読む時間を持つこと。
俵先生も子どものころ、専業主婦のお母様に
よく読み聞かせをしてもらい、絵本が好きだった。
ご長男とのやりとりでも、絵本をきっかけに話の糸口が
つかめ、話題が広がるという。

例えば、「花さき山」。やさしいことをすると
人知れず花が咲くというストーリー。
「幼稚園でどう過ごしたか、私が聞いても答えない時、
『あなたの花さき山には何が咲いてるの?』
と聞いてみた。息子は『(友達が) 牛乳こぼしたのを
ふいてあげたから、白い花じゃないかな』と答えたんです」

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書の本や幼児向けの詩集、ショートショートなど次第に
本のジャンルも幅広くなり、漫画の読み方も教えた。

言葉を学ぶ手段の一つ、テレビとはどう接しているのか。
平日は約30分、録画したアニメ番組を見せる。
「本を本棚から取り出して読むように、アニメも録画機から
取り出します」。
日曜日の午前中だけは放映中のアニメ番組を見せ、
終わったらすぐ消してつけっ放しにしない。

Ms.Violinistのひとりごと-小さな言葉 俵万智
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俵先生はシングルマザーだが、ご両親やご叔母、いとこさんなど
親族の近くに転居し、大勢の手を借りて子育てしている。
大人たちはセミ捕りなど、それぞれの得意分野でご長男と遊ぶ。
いとこさんからもらった「ドラえもん」の漫画本を読みふけったり、
ご叔母から贈られた絵本の読み聞かせを祖母に何度もせがみ、
「母親以外の目で選んだ物の方を気に入っている」という。

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成長するにつれ出てくる子どものさまざまな疑問に、
納得するまで言葉を尽くすことも大事にしている。
わかったつもりでいても説明できず、
「何?」と聞き返されることもしばしばだ。
「子どものおかげで自分が理解していないとわかり、
ハッとさせられます」。
会話のキャッチボールを楽しむのが、子どもの言葉をはぐくむ
ポイントのようだ。
(ende.)

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