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クラシック音楽もいいけれど、
現代音楽の扉を開いてみるのはいかがですか。
難しい、分からないというイメージが先行しがちですが、
ライプで聴くと新鮮な驚きがあります。
気鋭の作曲家、川島素晴先生とともに、
新しい音の旅に出かけてみましょう。
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現代音楽の定義は明確ではないが、一般的には
西洋クラシック音楽の延長線上にある20世紀以後の音楽を
指すことが多い。
旋律らしい旋律がなかったり、不協和音が連続したり、
拍子が絶え間なく変化したりする作品もある。
米国のジョン・ケージ(1912-92) の「4分33秒」のように、
演奏者が楽器を前にしても実際の演奏行為をしない
実験的作品もある。
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近年はさらに多様化し、メロディーが復活した作品も多く、
主流というべき傾向がない。
25歳の時、日本の新進作曲家の登竜門である
芥川作曲賞を最年少受賞した川島先生は
「現代音楽はまさにボーダーレス化しています」と言う。
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川島先生自身の作品「孤島のプァイオリン」(1991年)は、
無人島で育った人が初めてヴァイオリンを見たら、
どんな反応をするかがテーマ。
「楽器ではなく単なる物体と見なし、ヴァイオリンをたたく曲。
ぼろぼろの服を着て自分で演奏したことがあります」
というから演劇的要素が強い。
コンセプトは「演ずる音楽」。
「今まであり得なかった世界を知りたい、見つけたいという
気持ちで作曲しています。新たな発見がないと面白くないし、
人生つまらなくなると思うから」。
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現代音楽では、楽器の使い方に度肝を抜かれることが多い。
例えば、管楽器の一部を分解して吹いてみたり、吸ってみたり、
たたいてみたり。
ピアノのふたを開けて、内部に張りめぐらされた弦をはじくのは、
もはや当たり前。
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川島先生が、ピアノ独奏を務めたジョン・ケージの
「ピアノとオーケストラのためのコンサート」の舞台は、
実にユニーク。この曲は音譜ではなく図形で表されていて、
解釈は独奏者に委ねられる。
実演ではピアノのそばにホース、けん玉、仏具など30個以上の
小道具を配置して、曲の途中でそれらを鳴らしたり、たたいたり。
オーケストラのメンバーが舞台を歩き回ったりする場面も。
決してふざけていたわけではなく、まじめに演奏した結果だ。
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これが「分かる」か「分からない」かはともかく、
面白いと感じるかどうかは聴く人の感性次第。
「その場限りの音や行為に対して、自分だけの楽しみ方を
発見したらいいのでは」と川島先生。
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一体、現代音楽はどこに進もうとしているのか。
同時代の作曲家は何を考えているのか。
その手がかりを得るには、本を読むのもいい 。
日本をリードする作曲家同士が対談した
「作曲家がゆく 西村朗対話集」は、西村先生が野平一郎氏、
池辺晋一郎氏、細川俊夫氏らと互いの作風を分析し合ったり、
作曲家を志した理由が赤裸々に語られていて興味深い。
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現代音楽を主にした演奏団体も各地にある。
東京のアンサンプル・ノマド、アール・レスピラン、
東京シンフォニエッタ、関西のいずみシンフォニエッタ大阪、
ネクスト・マッシュルーム・プロモーションなど。
新しい音の世界へ一歩を踏み出してみましょう。
(ende.)
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Special Thanks:Ms.Violinist.
The author is "Ms.Composer."
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