
(2010年(平成22年)7月23日(金):毎日新聞(夕刊))
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今年も各地で集申豪雨が発生した。東京都板橋区では
時間雨量で過去最多の113mmを記録し、隣接する北区でも
77.5mmを観測、家屋浸水などの被害に見舞われた。
都市部での豪雨の報に接するたびに、コンクリート張りで
行き場を失った雨水が暴れているように映る。
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高度成長期、都内の雨水は地下浸透や蒸発分と、
下水道流入分が半々だった。
今は8割が下水道に集中する。
都は下水道・河川整備の前提となる「計画降雨量」を引き上げ、
今は「時間雨量50mm」の激しい雨に対応できるよう整備中だ。
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コンクリート砂漠といわれて久しいが、ヒートアイランド現象
で上昇気流が発生、大気中に増した水蒸気が集中豪雨の要因に
なっている、との指摘もある。
気象庁によると、1976~1986年に時間雨量が50mm以上だった回数は
年平均160回だったのに対し、1998~2008年には239回に増えた。
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かつて、石畳の道や住宅入り口に飛び石を設けて雨水を
地面に浸透させ、水はけの悪い地域では天水おけを街中に
置いて貯水し利用した。
雨水は時間をかけて川や海に流れ、水の循環が機能していた。
雨水利用に取り組んだ元墨田区職員の村瀬誠さん(61)は
「ゲリラ豪雨でも貯水、浸透できれば避難する時間を稼げる」
と主張する。
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コンクリート整備による洪水対策は今後も必要だ。
しかし、公共施設や道路に貯水設備や透水性舗装を導入するなど、
水の循環に配慮した対策を考える時期を迎えている。
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先日(12月3日)朝の季節外れの集中豪雨では、都心部などで
冠水・浸水の被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。
抜本的な解決には、社会全体での取り組みが求められますが、
当面は、自助努力で対応しなくてはならないようです。
先人からの知恵を見習ってみてはいかがでしょうか。
(ende.)
