
(2010年(平成22年)10月9日(土):毎日新聞(夕刊))
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300円以下の均一料金導入や大幅値下げ、
タッチパネルによる注文で人件費を削減。
居酒屋があの手この手で客の争奪戦を繰り広げている。
不況で外食産業の市場規模が縮む中、大手チェーンも
値下げ合戦に相次いで参入。夜の街に繰り出すサラリーマン、
学生らにアピールしている。
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「安いだけじゃなく、おいしい!」。仕事帰りの女性らで
にぎわった入り口に「全品300園均一」ののれんがかかり、
雨なのに店内は満席だ。友人と飲んでいた男性会社員は
「外食にかけるお金は限界がある。いかに安く楽しむか」。
刺し身やサラダ、揚げ物にスイーツ……。
「いろいろ食べたい」という女性には、豊富なメニューに、
安さが魅力だ。
店長の話では、若者、年配の人まで幅広い客層に
人気がある。「値段が安定しているから、お客さんは安心して
店に入れる。『300円ならこの程度』と思われないように
品質は落とさない」という。
新メニューの考案などで工夫を凝らしながら
「値下げには限界がある。最後に勝つのは接客などのサービス」
と力を込める。
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「白木屋」や「魚民」など約1,800店舗を全国展開する
モンテローザ(東京都)は、約170店でメニューの
大部分を270~300円均一で提供している。
2009年9月以降は、すべての食べ物と飲み物を268円均一で出す
「268円厨房うちくる」を大阪や東京、北海道などで9店オープンし、
節約志向に対応している。
同社総務部によると、全店舗の食材を一括購入したり、
テープルに備えたタッチパネル式画面を使った注文方法を取り入れ、
人件費を削減している。
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「コロワイド」(横浜市)が展開する格安居酒屋「えこひいき」でも
タッチパネル式の端末を各テーブルに設置。オーダー係の店員は
置かず、注文はすべて端末を介するシステムにしている。
店員数を少なくでき、人件費の抑制にも結びつけた。
「調理法も工夫しコストを減らしていますが、具体策は企業秘密」と、
競争を意識する。
こうした徹底的なコストカットでメニューを大幅に値下げ。
客1人あたりの単価は、同社が展開する居酒屋「甘太郎」と比べても
1,000円安い2,000円と、懐に優しい低価格を実現した。
現在全国で約70店舗を展開している「えこひいき」については、
今年度中には約100店舗に増やす計画という。
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社団法人・日本フードサービス協会のホームページによると、
今年8月の居酒屋の店舗数は前年比103.1%で、やや増えたが
売上高は同99.4%。店の数は増えたものの売り上げが減り、
競争が激しくなっている。
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長引く不況にどこも工夫を凝らして、お客さんを得ようと躍起。
「100円マック」に続いて、「100円均一居酒屋」が誕生するの?
でも、安売り大会の行き着く先が、明るいとは私には思えない。
あなたは、どう思われますか。
(ende.)
