Ms.Violinistのひとりごと-焼き肉 カルビ
(2010年(平成22年)10月26日(火):毎日新聞(朝刊))
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牛肉のもも肉やランプ肉を「ロース」として提供する
焼き肉業界の慣行が、景品表示法違反にあたるとして、
消費者庁が改善を求めている。
業界団体には戸惑いがあるものの、メニュー表示の改善には
前向きに対応する方向で、数ヵ月のうちに焼き肉店のメニュー表示が
変わるかもしれない。しかし、同じ部位でも名称が違うのはなぜか。
ロースやカルビなど、牛肉の名称にはどんな決まりがあるのだろう。

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消費者庁の調査で浮かび上がったのは、焼き肉店が
「内臓はホルモン、正肉はロースかカルビ」という料理名で
提供する業界の慣行だ。
同庁は実際に本来のロース部位を「上ロース」、
もも肉やランプ肉を「(並)ロース」と表示している店舗を確認した。

焼き肉店約1,500店が加盟する全国焼肉協会によると、
カルビやロースという名称は戦後、焼き肉が大衆料理として
広がり始めたころから続いている。同協会幹部は
「当時、肉はカルビとロースくらいしかなかった」と語る。
また、ある大手焼き肉チェーンは「脂ののった軟らかい肉をカルビ、
赤身の多い肉をロースと大ざっぱに分けることが多かった。
お客様の選びやすさを重視した」と説明する。

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もともと、ロースはあぶり焼きを意味する"roast(ロースト)"が語源で
一般的にはローストに適した肩や背中の軟らかい肉を指す。
一方、日本農林規格(JAS)法の「食肉小売品質基準」では、
牛肉は13部位に分類されており、
「ロース」と呼べるのは、肩から背中にかけてある肩ロース、
リプロース、サーロイン、ヒレの4種だけ。
ただ、この基準が導入されたのは1977年。

精肉店やスーパーで販売する肉が対象で、焼き肉店などの
外食産業は対象外だ。ちなみに、焼き肉でいう「カルビ」とは、
あばら骨やその周辺の肉を指す韓国語が語源で、
食肉小売品質基準には登場しない。

Ms.Violinistのひとりごと-精肉売り場
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スーパーの店頭や、ステーキレストランなどでは「ランプ肉」
「もも肉」などと表示されている肉が、焼き肉店で「ロース」と
されるのは問題、というのが消費者庁の見解だ。

日本食肉流通センターによると、
かたロースは1kgで2,715円なのに対し、ランプは同2,468円、
そとももは同1,982円と安かった。
消費者庁は、安いもも肉やランプ肉を「ロース」と表示すると、
消費者を誤解させる可能性があるとして業界ヘの改善要請に
踏み切ったというわけだ。

全国焼肉協会は「焼き肉は肉の切り出し方やタレのつけ込み方など
調理方法で肉の味が大きく変わる。部位名を単に表示することが
消費者のためになるかどうかは疑問」と戸惑いを隠せないが、
名称の変更については前向きに検討するという。

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一方、焼き肉ブームも手伝って食肉小売品質基準の区分よりも
さらに細かく分類した希少部位を売りにする店も増えてきた。
1頭から2kgほどしか取れない肩回りの「ミスジ」は肉質が良く、
刺し身などに利用される。
ランプの隣にある尻近くの肉「イチボ」はサーロインに負けない
コクがあると人気がある。

ロースの表示改善を求めた消費者庁は、半年程度で
状況が変わらない場合は、個別業者を景品表示法違反で処分に
乗り出す方針だ。
関東を中心に展開する中堅チェーンは「国内でBSEが発生した
2001年ごろから部位名ヘの問い合わせは増えてきた。
正確に伝えるのが時代の要請かもしれない」と
メニュー名変更に向けて検討を始める。

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でも、精肉店やスーパーで販売するお肉でも
「カレー・シチュー用」とか「すき焼き用」「しゃぶしゃぶ用」、
さらには「切り落とし肉」という不思議なものもある。

これらは、どこの部位のお肉さえも分からない。
私には、こっちも気になるんです。
(ende.)

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