Ms.Violinistのひとりごと-集合住宅 音を考える
(2010年(平成22年)9月27日:毎日新聞(朝刊))
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マンションの隣人トラブルで最も多いのは音の問題だ。
最近の建物は気密性が上がって屋外の音が
聞こえにくくなっているだけに、
内部の生活の音に敏感になるのだろう。
一戸建てでも、道路や鉄道、工場など外からの音は気になる。
ことは、遮音にこだわれば済むのかどうか。
音響生態学を研究し、作曲家、ピアニストでもある
小松正史・京都精華大准教授(39)にアドバイスを請うた。

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騒音か、良い音か。スパッと二分して、悪い音は即座に
取り除こうとするのは急進的に過ぎると思います。
遮音性の高い現代住宅では、遠くの音はほとんど聞こえません。
単に車の音が嫌なだけなら、幹線道路から離れた立地に
こだわる必要がないのでは。
じっくり音を考えないと、快適な住まいは達成されません。

携帯電話や携帯デジタル音楽プレーヤーなど、
小さなメディア機器が発達しています。そんな音を私たちは、
何か意味のある「情報」として聞いている。
人がつばを飲み込む音よりも、メディアの音に反応しがちです。
また、数十年前まで、川や木の葉の自然音、
遠くから都市の喧騒が聞こえていた。

今はテレビやエアコン、洗濯機の動作音、
電話の呼び出し音など、近くで発せられる機械音ばかりに
なっています。音の多様性に乏しいのです。

$Ms.Violinistのひとりごと-レッスン室 ヴァイオリン
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音は存在しているのが前提です。
あまりに静かな環境では落ち着かないものです。
その中で、意味のある情報、人に注意を促す音は
ごくわずかを占めるに過ぎません。大半は無意味な音です。
まずは、こちらに注意を向けてみましょう。

地域の共同体が発する音は、むしろ守るべきでしょう。
農村の農機具または漁村の漁船のエンジン音、
そして豊かな収穫を祈る祭りの音。
これらは人々の生活を支える象徴です。

私の住む京都市中心部では、火の用心の拍子木が聞こえる。
豆腐売りは複数やって来ます。
住民はラッパの音色によっていつもの豆腐売りを判別でき、
ボウルを持って待ち構えています。

Ms.Violinistのひとりごと-未設定
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結局、音の問題のすべては人間関係にあると思います。
普通の話し声程度の音量が、
良い音になるか悪い音になるかは人間関係次第。

仲の悪い人が発する音は許容できないもの。
不満を吐き出す回路として、住民同士が交流するお祭りなどの
仕掛けがあるかどうか。
うまくいっているマンションは、地蔵盆に参加するなどして、
元々ある古い地域とつながりを持っています。

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椅子の下に緩衝材を当てれば摩擦音が減り、
夏にゴザを敷けば、足音が軽やかになります。
家電のブザーをオフにするのも、立派な音のデザインです。
野鳥が好んだり葉擦れしやすい木を植えるとか、
屋外もコントロールできる。
人間関係を第一に。
ご自身が"音のコーディネーター"になってください。
(ende.)

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