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今夜は中秋の名月。
夜空にぽっかり浮かんだ満月は、ナゼかしら
いつもよりも大きさを増し、存在が近くに感じますね。
皆さまは竹取物語(かぐや姫物語)をご存じですよね。
竹から生まれたかぐや姫が、あっというまに成長し
求婚を迫る高貴な方々を難題で退ける。
ある日、自分が月の民であると明かして、
育ててくださったおじいさまとおばあさまと涙ながらに別れ、
月へと帰って行くかぐや姫。日本最古のお伽語です。
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ここに、もうひとつのかぐや姫物語があります。
遠い未来、地球が過去の全面戦争を経て復興期の時代。
全面戦争以前に地球から月に移住した月の民が、
故郷への帰還計画を地球側へ強い圧力を持って迫る。
荒廃した地球の文化程度は、アメリカ開拓当時のレベル。
それに対して、月は最新の科学力を持っていました。
月の民を受け入れるためには、それまで住んでいた地球人を
住み慣れた土地から退去させねばならず、交渉は決裂。
圧倒的な力の見せつける巨大ヒト型マシンMS(モビルスーツ)。
しかし、月の民の降下に応じるように、地球上にかつて栄えていた
ロストテクノロジーが目覚め、一斉に蜂起を開始する。
しかも、そのコックピットには月の民で先遣隊の少年ロランが座り、
操縦していた。そのMSの名は「ターンAガンダム」。

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1999~2000年にかけてTV放送され、2002年に劇場版で公開。
その後、2007年にDVDボックスがリリースされました。
富野由悠季監督作品で、メカデザインに米国の工業デザイナー
シド・ミード氏が当たった。カイゼル髭も凛々しいガンダムです。
戦闘シーンが目立ったそれまでのガンダムとは一線をかくし、
ターンAの世界観は、19世紀末のヨーロッパ社会とアメリカ開拓期を
合わせたような時代設定。トム・ソーヤーの冒険物語の世界です。
月の民の軍勢に急襲された際に、ロラン君が牧場の牛をターンAで
抱えて逃がしているシーンは愉快だし、地球よりも遙かに優れている
テクノロジーを使っても、月の6倍もある地球の重力に苦戦する等、
細かなディティールをリアルに追求した世界観に私はうっとりした。
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このターンAでかぐや姫にあたる人物が月の女王ディアナ・ソレル。
彼女とかぐや姫との結びつきは作品世界では話されなかったけれど、
もしかして、おじいさま・おばあさまと暮らした地球の景色を
千年を時間を経ても、一目見たいという想いが
心のどこかにあったのかなと…。
今晩の私は、かぐや姫を下敷きにしたこの「ターンA」で
心の中の「中秋の名月」を過ごしたいと思います。
私って、ひょっとして、結構アニメ○タクなのかも。(笑)
(ende.)
