Ms.Violinistのひとりごと-ヒラリー・ハーン ヴァイオリン弦
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たとえ、奏でている姿が見えなくても、
私たちは、聞こえてくる音色を聞くだけで
その楽器が何なのかを言い当てることが出来ます。
音楽を聞き慣れた方なら、一秒未満でもわかる。
では、なぜその楽器と分かるのでしょうか。

それは楽器毎に音形が違うから分かるのです。
そう! オシロスコープに現れる音の波の形。
空気を直接振動させる管楽器は、キレイな曲線だけど、
ヴァイオリンは弦を振動させるので、曲線にギザギザが入る。

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ヴァイオリンは、弓の毛で弦を擦って音を出します。
毛は鱗状のキューティクルでミッシリと覆われています。
さらにしっかりとした音を出すために松ヤニをつける。
そうすることで、毛の表面には小さなヤスリが沢山できます。

弦に当てて引っ張ると、弦にヤスリが次々と引っかかる。
だから、音をずっと出し続けることが出来るし、
弓の動かし方を変えることで、自由に表情がつけられる。
ヴァイオリンが摩弦楽器と呼ばれる理由がここにあるのです。

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さて、あなたがご自分のヴァイオリン演奏を録音した時、
この楽器らしくない音に聞こえることはないでしょうか。
輝かしさが乏しくて、のっぺりとしてフラットな音。
ちょっとだけ、ボウイングを見直してみませんか。

コツは、音の立ち上がりを強調することなんです。
ダウンでもアップでも、弓を動かす時に一瞬だけ力を入れる。
自動車や電車が発車の時、くいっと引っ張られる感覚です。
弓を持つ手を堅くせずに、肩から腕への滑らかな動きの中で。

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試してみましょう。ヴァイオリンは開放弦「A」か「D」。
ダウンならグッと引く、アップならスッと押し上げる。
でも、あくまで自然に。
強調が過ぎると、妙に気の利いた"fp"や"sfp"に。

曲名当てクイズで、イントロの一瞬だけで分かるのも
楽器の音を一瞬だけ聞いただけで分かるのも、
音の立ち上がりに楽器毎の違いが現れるからなのです。
エッジの効いたシャープな音を出しましょう。

私の想いがあなたに伝わりますように。
(ende.)

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