(2004 Anker Productions,Ink. All rights reserved.)
Ms.Violinistのひとりごと-オーケストラの向こう側
*
音楽とは何か? 
米・フィラデルフィア管弦楽団が創造する
音楽の秘密に迫る旅は、この問いで始まる。
ダニエル・アンカー監督が5年間にわたり楽団と行動し、
共同作業で作った、映像による音楽エッセイともいうべき
ドキュメンタリーだ。

フィラデルフィア管弦楽団の演奏家たちは、
気鋭の映像作家ダニエル・アンカーとの共同作業によって、
「音楽とは何か?」という本質的な問いへの答えを探し出してゆく。
カメラは舞台を超えて、オフステージの演奏家の姿を追い続ける。
コンサートマスターのディヴィッドは、
ソリストとして生きることに対する閉塞感から
人生を再発見するまでの心の軌跡を打ち明ける。
ランザ兄弟は子どもの頃に住んでいたイタリア人労働階級街を訪ね、
自らのルーツに音楽の原点を見出していく。
フィラデルフィア管弦楽団独自の甘美かつ優雅なハーモニーは、
日々音楽に挑み、音楽を愛し続ける演奏家たちの
真摯な生き方によって創り上げられるのだ。

《出演》
フィラデルフィア管弦楽団の1,105人のメンバーたち、
(指揮者)ヴォルフガング・サヴァリッシュ
    クリストフ・エッシェンバッハ
    シャルル・デュトワ/インゴ・メッツマッハー
    インゴ・メッツマッハー

《収録曲目》
J.S.バッハ作曲:無伴奏チェロ組曲第1番よりアルマンド
ベートーヴェン作曲:交響曲第3番「英雄」より第1楽章
ストラヴィンスキー作曲:バレエ音楽「春の祭典」
フランソワ・ラバト作曲:スペイン頌歌
ローランド・モラレス=マトス作曲:リトル・ルンバ
チャーリー・パーカー作曲:ブルース・フォー・アリス
シモン・シャヒーン作曲:ビサーンの微風
タン・ドゥン作曲:オン・タオイズム、他

*
カメラは団員の日常に密着する。
コンサートが終わればクラブでサルサやジャズの演奏を楽しむ人々。
専門家ゆえに分かる自らの才能の限界を吐露する者もいれば、
イタリア移民の居住区を訪れ、自らのルーツに音楽の原点を
見いだすヴァイオリニストもいる。
団員が自らを語る「点」が、家族やルーツヘと広がって「面」となり、
最後の合奏で立体化していく3部構成が見事だ。
芸術を生きる者たちの語りは、
人間にとって音楽とは何かという哲学的問いに、見る者を誘う。
(ende.)

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