Ms.Violinistのひとりごと-東京・神保町・古賀書店
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「古本屋の看板を気をつけて見てみなさい。
『高価買い入れ』とあっても、『古本売ります』とは
書いていないでしょ。買い取りこそ腕の見せどころですから」。
これは、私が以前に、とある古書店主に教わったコト。
言われてみると確かに「売ります」は少数派なんですよね。

そして、「せどり」という商いがあることも聞いた。
見知らぬ土地の古書店に飛び込む。
書棚に並んだ背表紙をざっと見回すと、
結構な値打ち本がほこりをかぶっている。
それを安く買い、転売するのである。
目利きを競う古本屋の他流試合みたいなものかも。

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でも、このベテランの古書店主にしても、近ごろの書物の
"自炊"が、はやっていると聞けば驚くと思う。
これは、自分で本を裁断し、1ページずつスキャナーで
読み込んで電子書籍にすることを指す隠語。
ipadなどの登場で注目され、高価な裁断機が売れているらしい。
私には、本の悲鳴が聞こえて来そう気がする。
けれど、一方では「陶板や木簡から紙に変わったのが、
今度は電子データになっただけ」とドライな考え方も。
Ms.Violinistのひとりごと-未設定
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たしかに、音楽で使う楽譜なども大手楽器メーカー主導で
Webコンテンツとして気軽にダウンロードできるようになった。
従来は、書店から取次店を経由して出版元に依頼をお願いすると、
複雑な流通経路がネックになって、取り寄せるのに2週間ぐらいは
掛かるのが普通であったのに比べれば、隔世の感ですね。

けれど、すでに絶版になってしまった専門書は、
取り寄せることは出来ない。
あとは古書店に出かけて、地道にジブンの足で探すしかない。
でも、それはそれで楽しいんです、ワタシ。
古書店で目的にあった本を時間を掛けて探す、
あの宝探しに似た感覚が、私は大好き。

この古書店にわざわざ出かけて、自分の捜し求める一冊を
雑多に積み上げられた書籍の山から探し出す
ワクワクする感覚を好む人々がいなくならない限り、
紙の本が駆逐されることはないと私には思える。

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それにしても、多忙に押し流されている私、
ずっと古書店に出かけていないのです。
だから、声を大にして言いたいの。
「私を古書店に連れてって!」

ところで、あなたはジャズのスタンダード・ナンバー
「私を月に連れてって"Fly Me to the Moon"」という
ステキな曲をご存じですか。
(ende.)

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