Ms.Violinistのひとりごと-被爆ピアノ HOPEプロジェクト
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(2010年(平成22年)8月14日(土):毎日新聞(朝刊))
広島で「被爆ピアノ」探す
「立命館宇治中・生徒がコンサート実現」

戦後65年。過ぎゆく時が戦争の痕跡をかき消そうとする中、
戦争を題材とした平和教育も難しさを増している。
こうした壁にあらがうかのように教室を飛び出し、
よりよい学びを模索する動きもある。

*
穏やかなピアノの音色が、
学校のホールに染み渡るように広がった。
今年3月、京都府宇治市の私立立命館宇治中であった
「被爆ピアノコンサート」。
ベートーベンやグリーグの調べに、生徒や地元住民ら
約550人が聴き入った。
実行委員長の濱元莉奈さん(当時3年、現立命館宇治高1年)は
「この音色を学校で聞けて、本当によかった」と涙して喜んだ。

*
話は2009年1月にさかのぼる。
2年生だった濱元さんは、同学年の希望者を対象とした
フィールドワーク「ミッション型平和学習」で広島に行った。
82人がいくつかのグループに分かれ、
与えられたテーマに沿って関係先を歩き、周囲の人々に話を聞いた。
濱元さんのグループのテーマは「被爆ピアノを探せ」。
被爆ピアノについて調べ、
コンサートを手がけている人たちに話を聞いた。
他には「原子爆弾の威力を報告せよ」「被爆者の手記を追え」などの
テーマもあった。

*
濱元さんが目にした被爆ピアノは、
学徒動員中に被爆して19歳で亡くなった河本明子さんの遺品だ。
ピアノも被爆し、壊れたままだったが、2005年に修復。
現在は市民団体「HOPEプロジェクト」などが管理している。
「一見してただの古びたピアノ。
でもよく見ると、ガラスの破片が刺さっている。
戦争は人も物も破壊してしまうと実感し、ショックだった」
と濱元さん。

*
2009年8月にもう一度広島を訪れ、このピアノの音色を聞いた時に、
「京都でもコンサートを開きたい」と決意し、
その場で「HOPEプロジェクト」の関係者に掛け合った。

コンサートには学校側も予算面で協力。
当日の演奏も、被爆ピアノのルーツについての演劇も、
他の生徒たちと一丸となって取り組んだ。
「過去の戦争がもたらした悲惨さ、そして現在の平和を
巡る人々の行動を理解し、これから自分がどうすべきかを
考えてほしい。そう思ってフィールドワークを行った」。
佐々木じろう教諭(41)はそう振り返り、付け加えた。

「現地に足を運び、そこにいる人たちと共感する。
その過程があって初めて、コンサートは可能になった」
(ende.)

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Special Thanks:HOPEプロジェクト. Ms.Violinist.
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