ヴァイオリンを奏でられる皆様は、楽器の健康状態について、
ちゃんと関心を持たれていらっしゃいますか。

楽器の健康管理(メンテナンス)は、毎日の基礎練習と共に
皆様が日々、ご自分の楽器とお過ごしになる中で、
いつも気遣いをしてあげたいものですね。
早くに楽器の病気(異変)に気が付けば、それだけ
病気からの回復も早くなりますから。

上手に調整された楽器からは良い音が出ますし、
長時間に渡って練習しても、疲れにくいのです。

ヴァイオリンを奏でる皆様向けの
"奏者がすべき保守"についてのレクチャーを
させていただきたいと思います。
それでは、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

Ms.Violinistのひとりごと-指板1
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第43回「パーフリングの働き」
「パーフリング」とは、楽器の輪郭に沿って施されている模様です。
滑らかな胴体の美しさを強調していますね。
コスメだと、パッチリお目々にしてくれるアイラインのようです。
一見したところでは線のようにしか見えないパーフリングには
大切な役割があるのです。
今回は、その辺りをお話させていただきます。

●パーフリングの構造
パーフリングを、楽器の輪郭に沿って描かれている「線」と
思っている方も多いようですが、実際は、表板に細い溝を掘り、
そこに白と黒の色違いの薄板を3枚合わせにして
埋め込んでいるのです。
パーフリングは、この様な複雑な構造をしているために、
その手間もとてもかかります。
従って安価な量産楽器の中には、
この部分を「線」として描いているだけものもあります。「ワォ!」

●装飾的な要素
パーフリングの起源は、バロック楽器の装飾でした。
現在のヴァイオリン族で見かけるような単調のものではなく、
様々な形をした象牙の小片を並べて埋め込んだり、
またはベッコウの縞模様の細工のものだったのです。

パーフリングが楽器の輪郭に沿って縁取られる理由は、
その位置が細工しやすいという理由もありますが、
輪郭を強調し、楽器を美しくしようとしたのです。
現代のヴァイオリン族のパーフリングは非常に単純な装飾ですが、
これを輪郭に施しただけで楽器の輪郭が引き締まり、
とても美しい外観を生み出すことが可能になるのです。

●楽器保護の要素
先述しましたように、パーフリングは表板の輪郭に沿って
薄板を3枚合わせにして埋め込んだだけのものです。
これだけの構造であるのにも関わらず、パーフリングには
楽器を保護する働きがあるのです。
パーフリングは表板に溝を掘って、そこに埋め込まれています。
そのため、例えば楽器の縁をぶつけてしまった場合に
パーフリングが割れが広がるのを防ぐのです。
皆さまも、ヴァイオリンの縁を誤って、どこかにぶつけたり、
ボウイングの最中、勢い余った弓で叩いてしまった
ご経験はおありでしょう。

このように、ヴァイオリンには飾りのように見える部分にも
さまざまな工夫がなされているのです。


皆様が素敵なViolinライフを過ごされますように。

(Ende.レクチャー:ヴァイオリニストがすべき保守
 (第43回) 「パーフリングの働き」)
The author is "Ms.Violinist."
The verification is "Ms.Composer."

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