Ms.Violinistのひとりごと-ハイポジション 運指
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ヴァイオリンという楽器の技巧は、
耳とカラダへの刷り込みでラーニングをします。
職人さんの手仕事で扱う道具と同じように
カラダの一部になるコトが大切なのです。

職人さんが長くキビシイ修業を経て、
やっと一人前になれるように、
音楽家も、日々精進を小さい頃から続けています。

でも、これはプロで通用するための技術を
身につけたい場合に限ってのお話です。

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「のだめカンタービレ」の大ヒットの影響か、
最近では、ヴァイオリンを大人になってから始められる、
あるいは子どもの頃に習っておられて中断を経て
再開される方を多く見受けられるようになりました。
音楽は一生を通じて楽しめるので、ステキなことだと思います。

でも、大人のヴァイオリンは、なかなか大変です。
一番辛いのが、生業とされるお仕事をお持ちなので、
練習時間がままならないという点です。
そして次が、テクニックを身につけるのに
柔らか頭の子ども達よりも時間がかかります。
他にも、短所をあげるといくつでも出てくるでしょう。
Ms.Violinistのひとりごと-未設定
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たしかに、テクニック面の学習進度は、
子どもには勝てないですね。
でも、あなた様はこれまで生きたなかで、
色々な人生経験を積んでおられます。
その経験をヴァイオリン学習にも、生かしてみましょうよ。

大人でないと出来ない長所を最大限に効かせましょう。
それはジブンで「考える」、そして「工夫する」というコトです。
子どもにはない、素晴らしい長所だと思いませんか。

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楽譜に書き記されているのは、作曲家が伝えたいコトの
最低限のメモでしかないのです。
大人なら、楽譜に込められた作曲家の想いや背景を、
ジブンで考えてしっかり掴むことができます。
これは子どもには出来ないことです。

また、ヴァイオリンを歌わせることの大切さも、
子どもには理解するのが難しいと思います。
かの音楽の神童と呼ばれたW.A.モーツァルトでさえも、
幼少期のオペラ作品等は、じつに稚拙で幼いものだと
あなた様はご存じですよね。人間ドラマを扱うには、
さすがの神童も人生経験が足りずに持て余したのです。

さらにヴァイオリンの名手も、自叙伝のなかで綴っておられます。
「早く技巧的(機械的)なパッセージは、
子どもにも訓練さえ積めば、やがて出来るようになるだろう。
だが、ゆっくりした叙情的な歌は、子どもにはムリだ。
人生の味を知らない者には、ドラマを語ることは出来ない。」

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子どもは子どもの良さ、大人は大人の良さがあります。
どちらが優れているかとは、誰にも判断できないコトです。

大人から楽器を始められたあなた様は、
そこにしっかりと目を向けて、音楽を奏でるコトを人生の楽しみとして
楽器とお付き合いなさったら良いと思います。

素晴らしい音楽は星の数ほどあります。
一生を掛けて尋ねても、楽しみは尽きないですよ。頑張りましょう。
私も、ご一緒させてくださいませ。
(ende.)

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