古典派音楽においての交響曲は、殆ど第1楽章が速いテンポの
ソナタ形式、第2楽章はゆっくりした速さの複合三分形式か変奏曲、
第3楽章はトリオを間に挟んだメヌエット、第4楽章は
「フィナーレ」のタイトルでソナタかロンドソナタで
構成されていることが多い。
しかし、ベートーヴェンは初期の交響曲から一辺して
第3楽章にメヌエットではなく、より激しいテンポの
スケルツォを採用していました。
(※交響曲第1番の第3楽章にもメヌエットの表記があるが、
 アクセントやテンポからみて、実質的にはスケルツォで
 あると認識がなされています。)

しかし、例外的にメヌエットが使われている交響曲があります。
次の中から選んでください。

(1)交響曲第3番変ホ長調作品55『英雄』
(2)交響曲第4番変ロ長調 作品60
(3)交響曲第7番イ長調 作品92
(4)交響曲第8番ヘ長調 作品93

$Ms.Violinistのひとりごと-ベートーヴェン 交響曲第8番 カラヤン

















それは、(4)交響曲第8番ヘ長調 作品93でした。

作品番号が示すとおり、交響曲第5番と第6番の関係と
同じく交響曲第7番と対を成すと言ってよいでしょう。
古典派の殻を破り、ロマン派音楽へと突き進んでいた
ベートーヴェンがふと、「古典回帰」をした作品と
思われます。編成の大きい第5、第6、後の第8に挟まれ、
木管セクションは2管編成、金管もトランペット2管のみで、
第1番や第2番に似たものを感じ取れます。
スケルツォの荒々しさではなく、トリオを備えた
古典派音楽のメヌエットの端正な雰囲気を醸し出しています。
しかし、対位法的処理や、トリオのホルンとクラリネットの
牧歌風な歌はベートーヴェンの世界です。
メヌエット大好きなハイドンが、涎を垂らしそうな秀作。
$Ms.Violinistのひとりごと-ベートーヴェン 交響曲第8番 カザルス
















(Ende.楽譜と音楽と
 …スコアにみる不思議な話(第5夜) July 20, 2010)
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