「演奏者泣かせのベートーヴェン(その1)」

歴史に名を残す名指揮者でベートーヴェンの9つの
交響曲を振らなかったマエストロがいない事からも、
ベートーヴェンの音楽の偉大さは代弁できます。
だが、一方で個性的、ベートーヴェン的語法のために
指揮者や「演奏者泣かせの曲」が存在するもの確かです。

その第1楽章冒頭から始まる特徴ある動機(モティーフ)ゆえに
「演奏者泣かせの曲」はどれか。
次の中から選んでください。

(1)交響曲第3番変ホ長調作品55『英雄』
(2)交響曲第5番ハ短調作品67『運命』
(3)交響曲第6番ヘ長調作品68『田園』
(4)交響曲第9番ニ短調作品125『合唱付き』

$Ms.Violinistのひとりごと-オーケストラ 起立












それは、(2)交響曲第5番ハ短調作品67『運命』です。

あの「ダダダ・ダーン」という有名な動機で始まることは、
クラシックに詳しくない方でも、ご存じのことと思います。
耳には確かに「連続する3つの♪+引き延ばされた音」と
聞こえ、いかにもベートーヴェンらしい勇壮な
出だしと関心することしきりです。
しかし、ここでスコアを開いて、冒頭のその部分を
じっくりと観察してみてください。

「ダダダ・ダーン」の3つ連続する♪「ダダダ」の前に
なんと八分休符(♪と長さが同じ休み)が一個あるではありませんか。
つまり指揮者の指揮棒が振り下ろされた後、
八分休符一個分の間をあけて、弾き出さなければならず
それだけでも難しいのに、名指揮者はベートーヴェンの
Allegro con brioに忠実にあろうとすればするほどに、
個性的な所作を使って激しさを強調するので、
音の出だしがとても合わせずらいのです。
案の定、初演は大失敗だったとの記録が残っています。

かの伝説的名指揮者のトスカニーニと共演した
とある首席奏者の自叙伝には、
「運命」の出だしのトスカニーニについて、
「練習では、指揮棒で何かごそごそとしているので、
"この辺だろうな"というところで音を出した」
という一節があるとか、ないとか……。
$Ms.Violinistのひとりごと-トスカニーニ















(Ende.楽譜と音楽と
 …スコアにみる不思議な話(第3夜) July 18, 2010)
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