「ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第3番」は憧れの産物か」
ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調」は
1800年に作曲され、1803年4月5日にウィーン劇場において
作曲者自らの手で初演されました。
「ハ短調」というベートーヴェンを象徴する調性です。
同じ調性を探しても「交響曲 第5番『運命』」や「コリオラン序曲」、
「ピアノソナタ第8番『悲愴』」等、名曲が多く見受けられ、
その調性の指し示すイメージ「英雄的・悲愴感」を如実に
表しているといえます。

さて、ここでQuestionです。
ベートーヴェンがこの曲の第1楽章の第1主題の着想段階で憧れ、
影響を受けたと言われる作曲家とその楽曲とは何でしょうか。
次の中から選んでください。

(1)J.S.バッハの「音楽の捧げもの(王様のテーマ)」
(2)W.A.モーツァルトの「ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491」
(3)ブラームスの「交響曲 第1番 ハ短調 作品68」
(4)ラフマニノフの「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」
$Ms.Violinistのひとりごと-ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第3番」CD1
















それは
(2)「W.A.モーツァルトの「ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491」」
です。
「第20番 ニ短調 K.466」と共に、多数作曲された
モーツァルトのピアノ協奏曲の中、珍しい短調で書かれています。
また楽曲のイメージは、半音階の陰陽が交わりながらも、
明るく伸びやかなモーツァルトの作風と異なり、暗い情念に支配されて
います。
むしろ「ベートーヴェン的」と表現することが適当とも感じられます。
第1楽章の第1主題のハ短調の主和音で始まりながらも、
不安定な和音進行をぎくしゃくと続ける動機は、
その後も繰り返し第1楽章の中で姿を現します。

(3)「ブラームスの「交響曲 第1番 ハ短調 作品68」」は、
ブラームスがベートーヴェンを意識したと言われています。
第4楽章でハ短調からハ長調への転調が行われるとともに
「ベートーヴェンの『歓喜の歌』」を彷彿とさせるフレーズが
現れます。
楽器編成面では、ベートーヴェンの「交響曲第5番」と類似性が
指摘されています。
着想から完成まで21年を費やして作曲された大作です。
$Ms.Violinistのひとりごと-ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491 CD1
















(Ende.オーケストラの舞台裏
 …名曲のナイショ話(第9夜) July 13, 2010)
The author is "Ms.Violinist."
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