「ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第5番『皇帝』」の秘密(その1)」
ベートーヴェンのピアノ協奏曲では演奏時間、編成ともに
最大の規模を誇ります。
なるほどに『皇帝』の名に恥じない名曲といえます。
交響曲でもそうであったように、第1楽章の冒頭から
斬新な手法が用いられています。
その斬新な手法とは何でしょうか。
次の中から選んでください。
(1)管弦楽の主題提示の前に独奏ピアノのソロがある
(2)ティンパニのトリルの後に独奏ピアノのソロがある
(3)いきなり始まるピアノ独奏の和音間隔が10度もある
(4)独奏ピアノは左手だけが使われている

それは
(1)「管弦楽の主題提示の前に独奏ピアノのソロがある」です。
厳密に言えば、管弦楽による変ホ長調の主和音が先に出ますが、
ベートーヴェン以前のピアノ協奏曲では、協奏曲ソナタ形式に従い、
管弦楽が主題提示をひとしきり奏でた後にピアノ独奏が始まります。
管弦楽よりも先に独奏ピアノが出る試みは、
「ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58」でも行われていますが、
ベートーヴェンでは、『皇帝』でより斬新な手法を実践しています。
冒頭でピアノのカデンツァと見まごうソロがあるため、
ベートーヴェンは全3楽章に独奏ピアノを弾くピアニストが
自らのファンタジーを聴衆に披露する見せ場「カデンツァ」を
許していないのです。
楽譜にも、カデンツァが置かれるべき場所(コーダに入る前)に、
わざわざ「カデンツァは不要」と指示しています。
モーツァルトの「ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調
K.271『ジュノム』」にも
第1楽章で管弦楽での第1主題の重要な要素となる
短い動機に誘われるように独奏ピアノが応答しますが、
これはベートーヴェンにも影響を
与えているのではないかと思います。
(2)「ティンパニのトリルの後に独奏ピアノのソロがある」は、
グリーグの「ピアノ協奏曲 イ短調作品16」が有名です。
ティンパニのロール(トリル)と管弦楽による鋭いアタックの
直後に、イ短調の流れ落ちる滝のようなフレーズの独奏ピアノの
ソロがあります。一度聞いたら、忘れられない印象的な情景世界です。
(3)「いきなり始まるピアノ独奏の和音間隔が10度もある」は、
ラフマニノフの「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」です。
ベートーヴェンもグリーグもすぐに独奏ピアノが登場しますが、
ラフマニノフの場合、第1楽章は、管弦楽が静まりかえっている中
この独奏ピアノの「10度の和音塊」をピアニストが鳴らさなければ
始まりません。
(4)「独奏ピアノは左手だけが使われている」は、
ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調」が有名です。

(Ende.オーケストラの舞台裏
…名曲のナイショ話(第6夜) July 10, 2010)
The author is "Ms.Violinist."
The verification is "Ms.Composer."

ベートーヴェンのピアノ協奏曲では演奏時間、編成ともに
最大の規模を誇ります。
なるほどに『皇帝』の名に恥じない名曲といえます。
交響曲でもそうであったように、第1楽章の冒頭から
斬新な手法が用いられています。
その斬新な手法とは何でしょうか。
次の中から選んでください。
(1)管弦楽の主題提示の前に独奏ピアノのソロがある
(2)ティンパニのトリルの後に独奏ピアノのソロがある
(3)いきなり始まるピアノ独奏の和音間隔が10度もある
(4)独奏ピアノは左手だけが使われている

それは
(1)「管弦楽の主題提示の前に独奏ピアノのソロがある」です。
厳密に言えば、管弦楽による変ホ長調の主和音が先に出ますが、
ベートーヴェン以前のピアノ協奏曲では、協奏曲ソナタ形式に従い、
管弦楽が主題提示をひとしきり奏でた後にピアノ独奏が始まります。
管弦楽よりも先に独奏ピアノが出る試みは、
「ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58」でも行われていますが、
ベートーヴェンでは、『皇帝』でより斬新な手法を実践しています。
冒頭でピアノのカデンツァと見まごうソロがあるため、
ベートーヴェンは全3楽章に独奏ピアノを弾くピアニストが
自らのファンタジーを聴衆に披露する見せ場「カデンツァ」を
許していないのです。
楽譜にも、カデンツァが置かれるべき場所(コーダに入る前)に、
わざわざ「カデンツァは不要」と指示しています。
モーツァルトの「ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調
K.271『ジュノム』」にも
第1楽章で管弦楽での第1主題の重要な要素となる
短い動機に誘われるように独奏ピアノが応答しますが、
これはベートーヴェンにも影響を
与えているのではないかと思います。
(2)「ティンパニのトリルの後に独奏ピアノのソロがある」は、
グリーグの「ピアノ協奏曲 イ短調作品16」が有名です。
ティンパニのロール(トリル)と管弦楽による鋭いアタックの
直後に、イ短調の流れ落ちる滝のようなフレーズの独奏ピアノの
ソロがあります。一度聞いたら、忘れられない印象的な情景世界です。
(3)「いきなり始まるピアノ独奏の和音間隔が10度もある」は、
ラフマニノフの「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」です。
ベートーヴェンもグリーグもすぐに独奏ピアノが登場しますが、
ラフマニノフの場合、第1楽章は、管弦楽が静まりかえっている中
この独奏ピアノの「10度の和音塊」をピアニストが鳴らさなければ
始まりません。
(4)「独奏ピアノは左手だけが使われている」は、
ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調」が有名です。

(Ende.オーケストラの舞台裏
…名曲のナイショ話(第6夜) July 10, 2010)
The author is "Ms.Violinist."
The verification is "Ms.Composer."