「W.A.モーツァルト「交響曲 第41番『ジュピター』」」について
このローマ神話の最高神『ジュピター』の名を戴いた
交響曲は、J.ハイドンを英国ロンドンに招聘した興行師の
ザロモンによって名付けられたとされています。
この曲の規模といい、終楽章の奇跡ともいえる
「ジュピター音型(*)」に基づく様々な楽器による対位法的技巧と
和声の結合の見事な処理は、モーツァルト作品の集大成と言っても
過言ではありません。その名にふさわしいと思えます。
(*)「ジュピター音型」:ハ長調のド(C)・レ(D)・ファ(F)・ミ(E)の4音符)。

さて、ここでQuestionです。
この「ジュピター音型」はモーツァルト自身、
大変に好んだ動機(モティーフ)であり、彼の作品の中で
度々登場します。

「ジュピター音型」が「使われていない曲」はどれでしょうか。
次の中から選んでください。

(1)交響曲 第1番 変ホ長調 K.16
(2)ミサ・プレヴィス ヘ長調 K.192
(3)交響曲 第33番 変ロ長調 K.319
(4)交響曲 第37番 ト長調 K.444 (425a[Anh.A53])
$Ms.Violinistのひとりごと-W.A.モーツァルト「交響曲 第41番『ジュピター』CD
















それは
(4)「交響曲 第37番 ト長調 K.444 (425a[Anh.A53])」でした。

今日のモーツァルト研究では、モーツァルトに
「交響曲 第37番」は存在せず、最新の作品目録では
交響曲の第37番目は「欠番」となっているのです。
その他の3曲には、全て「ジュピター音型」が登場します。
また、他にも「ミサ曲 ハ長調 K.257」等にも顔を出して
います。更にモーツァルトだけではなく、当時の作曲家の
作品にも「ジュピター音型」が用いられています。
「シャコンヌ」と同様に、宗教的意味合いを持って、
古くから採用されていた動機だったという説があります。

「交響曲 第37番」は、モーツァルトが急場の演奏会に
間に合わせるために、J.ハイドンの弟ミヒャエル・ハイドンの
「交響曲 第25番 P.16」に自作の序奏をつけた「補作」にすぎず、
目録では「断片(Anh.)」となっています。
結局、急場の演奏会で使われた交響曲は、
「交響曲 第36番 ハ長調 K.425『リンツ』」でした。
如何に速筆のモーツァルトといえども間に合わない時は、
ラフ・プレーに走ることがあるのですね。
ただし、上記のミヒャエル・ハイドンが窮地の時には、
モーツァルトが助けているので、お互い様というところでしょうか。
「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲K.423、K.424」です。
$Ms.Violinistのひとりごと-交響曲 第37番 ト長調 K.444 CD

















(Ende.オーケストラの舞台裏
 …名曲のナイショ話(第4夜) July 8, 2010)
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