「J.ハイドン流陳情の仕方「交響曲 第45番『告別』」とは」
J.ハイドンは長寿を全うした作曲家であり、
その長さに見合うだけの多くの作品を残しています。
食事時の機会音楽としての弦楽四重奏曲や、音楽会の
開幕と聴衆の退場のための音楽としての104曲にも
およぶ交響曲には圧倒されるものがあります。
また、標題が付いたものも多く、音楽鑑賞での
イメージを描くのに重宝するものです。

さて、ここでQuestionです。
この「交響曲 第45番『告別』」は仕えていた
エステルハージィ候の夏休みが侯爵の都合で
ひどく延びてしまい、宮廷楽団員の帰省のために
J.ハイドンが一計を案じて作曲し演奏されたものです。
その一計とは何でしょうか。
次の中から選んでください。

(1)終楽章で最後には誰もいなくなる
(2)指揮者が倒れる
(3)終楽章が終わらずに繰り返しを続ける
(4)音を出さずに終わる  
$Ms.Violinistのひとりごと-交響曲 第45番『告別』CD
















それは
(1)「終楽章で最後には誰もいなくなる」でした。
この交響曲は4楽章構成で通常のJ.ハイドンの交響曲の
スタイルに則っています。
しかし、調性は嬰ヘ短調であり、終楽章である第4楽章も
短調の速いテンポで、切迫感を漂わせています。
ソナタ形式の再現部が終わり、完全終始の和音が
打たれるはずのところに属和音が鳴らされ、3/8拍子の
アダージョが始まります。
イ長調を主な調性として、嬰ヘ短調に短調するたびに
楽員が席を立ち去って行くように作曲されているのです。
それは、第1オーボエと第2ホルンから始まり、
最終的に弱音器をつけた2人のヴァイオリン奏者の
ピアニッシモの音で終わります。
この声なき訴えに、賢明な君主のエステルハージィ候は気づき、
翌日には領地に帰省をするのです。

確かに良くできた終楽章ですが、J.ハイドンの仕掛けは
もっと音楽的なものです。全てがそうではありませんが、
楽員が立ち去る際のフレーズは、その楽器のための
見せ場(ソロ)になっている点です。
スコア(総譜)を見ていると、楽器の五線譜が終止符で
次々と減っていき、尻すぼみの姿が見て取れます。

(2)「指揮者が倒れる」は、マウリツィオ・カーゲルの
「フィナーレ」という室内楽曲です。
「倒れる」方法についても、いきなりバタンと倒れるのではなく、
倒れる際の細かな指示が楽譜に記されています。
気になる方は調べてみてください。
$Ms.Violinistのひとりごと-ハイドン 交響曲告別Mov4 Adagio最後





















(Ende.オーケストラの舞台裏
 …名曲のナイショ話(第2夜) July 6, 2010)
The author is "Ms.Violinist."
The verification is "Ms.Composer."

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