今回は、再録リクエストの多かった
(第28回)「楽器の熱対策」を
再度Upさせていただきますね。
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ヴァイオリンを奏でられる皆様は、楽器の健康状態について、
ちゃんと関心を持たれていらっしゃいますか。

楽器の健康管理(メンテナンス)は、毎日の基礎練習と共に
皆様が日々、ご自分の楽器とお過ごしになる中で、
いつも気遣いをしてあげたいものですね。
早くに楽器の病気(異変)に気が付けば、それだけ
病気からの回復も早くなりますから。

上手に調整された楽器からは良い音が出ますし、
長時間に渡って練習しても、疲れにくいのです。

ヴァイオリンを奏でる皆様向けの
"奏者がすべき保守"についてのレクチャーを
させていただきたいと思います。
それでは、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

$Ms.Violinistのひとりごと-指板1












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第28回「楽器の熱対策」
●"暑い夏に楽器をトラブルから守る方法"
夏は、熱が原因のトラブルが発生しやすくなります。
重症の場合には、
ニスが泡だったり、板の変形が起こることがあります。
このようなトラブルを防ぐ方法としては、
大きく分けて次の3つの方法があげられます。

$Ms.Violinistのひとりごと-角形ケース中身












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「直射日光の下にはケースを置かない」
楽器を熱から守る最も重要な方法は、
ケースを直射日光の下に放置しないことです。
人にとっては大して暑く感じない場合でも、
ケースは想像以上に熱を吸収し、溜め込みます。

これが車内の場合には、最悪といってもよいでしょう。
実際、熱による楽器のトラブルの多くは、
ケースを車内に置いておいたことによって起きています。
車の中には、たとえ5分間だけでも
ケースを放置しないように注意してください。

車内にケースを置いて運転しなければならない場合には、
ケースを毛布や上着等でくるむだけで、
熱の吸収を大幅に防げます。
車のトランクに積む場合も同じです。
どうぞ、習慣になさってくださいね。
また、ケースを毛布などでくるむことは、
自動車事故などの時に、
大切な楽器を少しでも保護する効果を持っています。

楽器を持ち歩く場合にも、炎天下の下を歩くのではなく、
日陰を選んで歩くのに越したことはありません。
ただ、歩く場合には、ケースを放置しているのと異なり、
直射日光の当たる位置、角度が刻々と変わります。
それほどの悪影響は与えません。

夏は、締め切った室内が40度近くになり、
そこに置いている楽器への影響は心配の種です。
もちろん、室温が常温であるのがベストですが、
外出中に窓を閉め切っていると、
室温が上昇してしまうのは仕方ありません。
ただ、この場合には直射日光とは異なり、
ケースの内部に熱が溜め込まれるということはないです。
ですので、車の車内での放置ほどの悪影響はないと思います。
この時、ケースの蓋は閉めて置いた方が、
ケース内部の温度上昇を少しでも遅らせることができます。

なお、車のエアコン稼働させても、あまり効果はありません。
直射日光は輻射熱なので、車内温度とは無関係に
ケースに吸収されてしまうからなのです。

Ms.Violinistのひとりごと-丸形ケース中身












#
「ケースの選択」
ケースの種類と熱による影響も、それぞれ特徴があります。
例えば角形ケースの場合、内部容積が大きいために、
楽器本体に熱が伝わりにくいのですが、
丸形ケースの場合には、ケースが熱せられると
中の楽器もすぐに熱くなってしまいます。
またケースカバーの色によっても、
直射日光の吸収具合は若干ですが異なってくることでしょう。
そしてケースやカバーの材質、構造などによっても
熱の伝わり具合は大きく異なってきます。

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「断熱シート」
最も簡単な方法で、
熱の悪影響を和らげる方法を紹介します。
ケースカバーの中に、断熱シートを入れることです。
角形ケースの場合には、
譜面入れにシートを挿入するだけなので簡単です。
断熱シートは、表面が銀色をした発泡樹脂シートです。
東急ハンズ等の素材コーナーで売っています。

この断熱シートは、冬季にも役に立ちます。
冬には楽器を持ち運ぶと、中身の楽器まで冷えてしまい、
その後、室内で急激に暖めると、楽器に悪影響が及びます。
断熱シートは、保温シートとしての効果がありますので、
楽器が冷え込むのを防ぎます。
 

皆様が素敵なViolinライフを過ごされますように。

(Ende.レクチャー:ヴァイオリニストがすべき保守
 (第28回) 「楽器の熱対策」)
The author is "Ms.Violinist."
The verification is "Ms.Composer."

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