
去年の全国紙の夕刊の片隅にさり気なく掲載されていた
下記の記事を、皆様は覚えていらっしゃいますか。
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(2009年(平成21年)8月25日:毎日新聞(夕刊)より)
【引退俳優らの老後は?】
「芸能人年金共済制度」廃止決まる。
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欧州では老優のための慈善・専用ホームがあるなど、
俳優に対する敬意が払われているのに、
日本ではなぜ、それがないのだろうか?
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社団法人・日本芸能実演家団体協議会
(芸団協、野村萬会長)が、芸能人年金共済制度
(芸能人年金) の廃止を決めた。
芸団協は'65年創立。演劇や音楽、演芸など
72の芸能団体で構成されている。
「芸能人年金」は、芸団協の2代目会長になった
歌舞伎俳優の故・八代目坂東三津五郎が
懇談会でもらした次の一言が契機となり、実現する。
「年をとって働けなくなった俳優ほど、
みじめなものはないのに、誰も働けなくなったときの
保障などしてくれない。
老後の年金といったような制度は考えられないか。」
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スタートしたのは'73年4月。
「退職金」のない実演家にとっては、老後の生活の
支えの一つになっていた。
ユニークな「年金」だった。
掛け金は1回当たり1ヶ月1,200円。
芸団協所属団体の会員と配偶者が加入できる
私的な年金制度で、60歳から75歳までの間で
希望する時から受給できる。
掛け金の増減に関しては、
増口が年1回なのに対し、減回は随時。
年をとると、仕事が減るケースが多いことに
配慮していた。
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36年間にわたって親しまれ、今年も約5,000人が
加入していた。そんな年金が廃止に追い込まれたことには、
次のような理由がある。
契機の一つは、3年前に改正保険業法が施行されたことだ。
金融庁などが「芸能人年金のような私的な制度も
法律の規制対象にする」と判断したため、
制度を継続することが難しくなった。
さらに、昨年末に公益法人改革3法が施行されたことに伴い、
制度の存続・廃止を早めに決めざるを得なくなった。
そして、芸団協は今年6月に廃止を決定したのである。
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芸団協の専務理事で俳優の大林丈史はこう語る。
「収入が不安定な芸能人のため、柔軟な運営をしていた
こともあり、民間の保険会社は引き受けてくれなかった。
今なら会員に掛け金などを返還できるので、廃止せざるを
得なかった。とても口惜しい。
国はなぜ、私たちのようなささやかな『助け合い年金』ま
で廃止に追い込むのだろうか。」
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多忙のうちに、この記事の続報を見失った私なんです。
どなたか、ご存じの方はおられませんか?
また、この件に関してご意見をお持ちの方、
コメントをお待ちしております。
(ende.)