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「はやぶさ地球帰還」のニュースが様々なメディアで
取り上げられています。
すでに皆様もご存じのことと思います。
新聞記事から"探査機「はやぶさ」"について
拾い上げてみましょう。
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小惑星イトカワの岩石採取に挑んだ探査機「はやぶさ」は
13日深夜、地球に帰還した。
月より遠い天体に着陸し、地球に戻ってくるのは史上初。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、
はやぶさは午後10時50分ごろ(日本時間)、大気圏に突入、
カプセルが加熱されて輝く「火球」がウーメラ砂漠で観測された。
はやぶさ本体は大気圏で燃え尽きた。
カプセルが無事着地し、中にイトカワの砂などが入っていれば、
世界で初めて小惑星で直接採取した物質となる。
'03年5月の打ち上げから7年。
予定より3年長引いた旅の総距離は、
月への往復約8,000回に相当する約60億キロに達した。
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これだけでは、どうしてヴァイオリンが関連しているかは、
分からないと思います。
直接の関連は、探査機「はやぶさ」が岩石採取に挑んだ
"小惑星「イトカワ」"の方にあるのです。
では、お話を続けますね。
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●小惑星「イトカワ(糸川"Itokawa")」:
イトカワ(糸川、いとかわ、25143 Itokawa)は、
1998年9月26日、アメリカ・ニューメキシコ州ソコロで
マサチューセッツ工科大学リンカーン研究所の
地球近傍小惑星探査チーム (LINEAR) により発見された。
日本の小惑星探査機(工学実験宇宙機)はやぶさ (MUSES-C) の
探査対象となったことから、宇宙科学研究所(当時)が
日本のロケット開発の父・糸川英夫の名前を付けるよう
LINEARに依頼し、2003年8月6日に国際天文学連合により承認されて
同協会の『小惑星会報』 (MPC) で発表された。
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ハイ! お名前が出て参りました。
小惑星「イトカワ」は、糸川英夫先生から付けられたですね。

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そう! 科学者であり、類い希なる音楽愛好家であった先生。
謎の多いヴァイオリン製作に科学の視点で挑んだ著作
「八十歳のアリア《45年かけてつくったバイオリン物語》
糸川 英夫/著 ネスコ 文藝春秋」を、読み返しながら
私は、この世紀のニュースを見てたんです。
糸川先生の著書に寄せられたお言葉を続けますね。
「僕はロケット博士じゃない」。
天才ヒコーキ屋は半世紀前から、密かに一挺のバイオリンを
つくりつづけていた。
最先端理論と方程式を駆使した工法が、従来の常識をくつがえす。
ロケットも『逆転の発想』も、すべてこの楽器開発の副産物だった。
45年かかってバイオリンをひとつつくりながら、僕は生きてきた。
僕は、《ヒデオ・イトカワ号》の音を聞くたび、
ほんわりと幸せな気分になる。
「生の日々がどんなに辛く苦しくとも、
僕たちはバイオリンの美しい音楽の調べとともに、
生きていけるのだ。」
バイオリンが完成したから、次は弓をつくろうと思っている。
もう数式は完了しており、理論上は完璧な弓が、
僕の頭のなかでできあがっている。
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糸川先生は既にお亡くなりになっていますが、
この時代の私たちが、音楽を心から愛しておられた先生に
このようなカタチで再会できるなんて、
私は胸がいっぱいになりました。
探査機「はやぶさ」は燃え尽きて、消滅してしまいましたが
お空のどこかから、自作のヴァイオリンを手に微笑まれる
糸川英夫先生のお優しかった眼差しを感じるのは、
私の感傷なのでしょうね。
「生の日々がどんなに辛く苦しくとも、
僕たちはバイオリンの美しい音楽の調べとともに、
生きていけるのだ。」(糸川英夫)
(ende.)