皆様、ごきげんいかがですか。
私もVnのリペアやグッズで大変にお世話になっている
アルチザンハウス(東京・品川)の工房がある
"アルチザンハウス神戸"の職人さんとの談話や
トピックスを中心に更新してまいります
"(公認)アルチザンハウスKobe日記"の最新号(2010年6月6日号)が
届きましたので、さっそくUPさせていただきます。

ナビゲーターは、神戸の在住の親友"Ms.Composer."です。
乞うご期待ください。
さて、今回は、どんな話題で盛り上がったのでしょうか。
それでは、《(公認)アルチザンハウスKobe日記》を
ごゆるりとお楽しみくださいませ。
by Ms.Violinist.

☆”
ごきげんよう! 私は"Ms.Composer."と申します。
今回もわたくしめのコラムにお付き合いください。
よろしくお願いします。

今回、第15回は
「性能の良い弓と、悪い弓では何が違うのか。」
というテーマで進めてまいります。

$Ms.Violinistのひとりごと-ヴァイオリン弓の群れ
#
(Ms.Composer)からの質問:
「性能の良い弓と、悪い弓では何が違うのでしょう。」

#
(職人さんの答え):
「弓や楽器の初期性能は、
 「材質」と「製作精度」によって決まります。
 弓の場合にはその構造がシンプルなために、
 材質の影響を大きく受けます。
 弓の性能とは材質の性能と言っても
 過言ではないと思います。
 良い弓材質とは、
 「木目が真っ直ぐに通っている」など
 いくつか上げることができますが、
 一番重要な要素は「強い」ことです。
 すなわち、上質な弓とは「強い弓」なのです。」

$Ms.Violinistのひとりごと-アルチザン・作業台反対側
#
(Ms.Composer)からの質問:
「強い弓についてお話ください。」

#
(職人さんの答え):
「普及品の弓の場合、その木材質はどうしても強度不足です。
 ですから若干太めに製作するのですが、
 それでも限界があります。
 必要以上に太くすると、重くなり過ぎて
 バランスが悪くなるからです。
 このような弱い弓の場合、弓が弱いために、
 どうしても毛を目一杯張らなければ、
 毛が弓竿に接触してつぶれてしまいます。
 普及品弓を使っている人を観察すると、
 弓竿と毛が平行状態になっている場合が多いのです
 強い弓の場合には、弓の毛を目一杯に張らなくても、
 弓がつぶれることはありません。
 弓竿の状態が曲線を保ったままで演奏できるのです。
 この差が重要になります。

$Ms.Violinistのひとりごと-アルチザン・作業台近影
#
(Ms.Composer)からの質問:
「もう少し、具体的にお話してください。」

#
(職人さんの答え):
「重要な点を3つあげてお話します。」
●「重心の位置」
「普及品の弓の場合、
 毛を目一杯張らなければ実用になりません。
 これですと弓の重心が弦の位置よりも随分高いところに
 位置してしまいます。
 上質弓では、弦の位置と重心の位置が近いところにきます。
 これは弓の跳ばし、または弓の繊細な取り扱いなどの
 「テクニック」に大きな影響を与えるのです。
 例えば、弓の毛と、竿との距離が30cmも離れていたら、
 弓の毛を弦にそっと乗せることさえも難しいですね。」

●「ボーイングと力のかかり具合」
「弓と毛が平行状態に張られている普及品弓のボーイングは、
 弓竿を真横に引く感じになります。
 このような運動をさせた場合、
 どうしても弓が跳ねてしまうのです。
 上質弓の場合には、弓は曲線状態を保っています。
 このような弓でのボーイングは、
 弓を真横に引く感じではなく、
 まさに弓の曲線に沿ったように運動させることができます。
 このようなボーイングでは、自然に弓に圧力がかかるので、
 弓が飛び跳ねることがありません。
 これは「弓が吸い付く」というような表現をされたり、
 または「腕の重さがのる」という表現をされたりします。
 この弓の運動原理はとても大切です。
 良い弓でも弓毛をパンパンに張りすぎていたのでは、
 弓が弦を抑える力は減ってしまい、
 結果として弓が飛び跳ねてしまうのです。
 従って正しい弓の毛の張り方は、
 「つぶれない程度に緩く」というのが正解なのです。
 もちろん個人の好みにより、
 ある程度の範囲があることでしょう。」

●「その他のメリット」
「上質木材の他のメリットとして、
 竿の「反り」が戻りにくいという事が上げられます。
 弓の竿は、元々は真っ直ぐな棒なのです。
 これを熱によって反らせるのですが、
 安い木材ほど反りが戻りやすいのです。
 上質木材ほど、反りを付けやすく、
 そして反りが戻りにくいものです。
 また、弓の太さの影響もあります。
 上質弓ほど「細く、しかし強い」弓です。
 持ったときに重心の「点」を感じやすいのです。
 しかし太くて柔らかい弓になるに従って、
 重心はボヤッとして感じにくくなります。
 これは弓のテクニックに大きな影響を与えるのです。」

$Ms.Violinistのひとりごと-アルチザン・展示楽器
#
(Ms.Composer)からの質問:
「実際に弓を購入する際の考え方については?」

#
(職人さんの答え):
「弓と楽器とを比べた場合、
 どうしても値段の高い楽器がメインに扱われます。
 予算をたてる場合でも、
 まずは楽器の予算から確保することでしょう。
 しかし良い弓無しに、演奏テクニックの向上は望めません。
 ですから、良質の弓を求めることをお勧めします。
 弓の選び方としては、
 基本的には新作弓が断然コストパフォーマンスに優れています。
 50万円以下で、最高品質の弓が手に入るからです。
 実用上は、きちんと選び抜かれた弓の場合、20万円も出せば、
 上級者でも満足できるものが選べることでしょう。」

以上。

#
ご褒美にちょっと、自己主張を書かせてもらえますので、
この場を借りまして一言。(面倒だから、いつも同じですが。)
「現代音楽を聴きましょう。特に邦人作品を。
 すばらしい試みが、あなたのおいでをお待ちしています!」
 ありがとう!

By "Ms.Composer." Special Thanks for "Ms.Violinist"

(Ende.(公認)アルチザンハウスKobe日記 2010年6月6日号)
The author is "Ms.Composer."
The verification is "Ms.Composer.

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