皆様、ごきげんいかがですか。
私もVnのリペアやグッズで大変にお世話になっている
アルチザンハウス(東京・品川)の工房がある
"アルチザンハウス神戸"の職人さんとの談話や
トピックスを中心に更新してまいります
"(公認)アルチザンハウスKobe日記"の最新号(2010年5月23日号)が
届きましたので、さっそくUPさせていただきます。

ナビゲーターは、神戸の在住の親友"Ms.Composer."です。
乞うご期待ください。
さて、今回は、どんな話題で盛り上がったのでしょうか。
それでは、《(公認)アルチザンハウスKobe日記》を
ごゆるりとお楽しみくださいませ。
by Ms.Violinist.


☆”
ごきげんよう! 私は"Ms.Composer."と申します。
今回もわたくしめのコラムにお付き合いください。
よろしくお願いします。

今回、第13回は
「弓の毛替えのタイミングについて」
というテーマで進めてまいります。

$Ms.Violinistのひとりごと-ヴァイオリン弓の群れ












#
(Ms.Composer)からの質問:
「弓の毛替えのタイミングについて、お教えください。」

#
(職人さんの答え):
「多くの方は、弓の毛が切れて少なくなったり、
 毛が摩耗したときが「毛替え時」と考えていることでしょう。
 もちろんこれは正しいのですが、
 他にも「毛替え時」の要因はあります。
 これらについて説明してみましょう。」

$Ms.Violinistのひとりごと-アルチザン・作業台近影












#
(Ms.Composer)からの質問:
「はい。では、要因毎にお話をお願いします。」

#
(職人さんの答え):

●「毛が切れて、少なくなった時」
 これは一目で変わりますね。
 しかし、毛の切れる原因は様々です。
 弦による摩耗で切れる場合よりも、
 その他の要因によって切れることの方が多いのです。

 よくあるのは、
 弓竿に弦を擦り付けてしまっている場合です。
 多かれ少なかれ、弓の毛は弓竿に接触するものですが、
 これには、弓を傾けすぎて演奏する癖のある人、
 または弓の質が低いために曲げ強度が弱すぎて、
 弓の毛が竿にくっついてしまう場合に起こります。

●「毛の摩耗 」
 毛が摩耗してしまった時も毛替えのタイミングです。
 弓の毛は松ヤニで覆われた状態で、
 弦と接触していますから、簡単には摩耗しません。
 演奏の具合、累積時間で大きく異なるのですが、
 一般的なアマチュアの方は、
 毛の摩耗に限っての要因では、1年間くらいは平気です。

●「弓の毛の汚れ」
 「最近、弦の吸い付きが悪くなった」と
 感じる場合には、汚れの影響を疑うべきでしょう。
 弓の毛には松ヤニが付いていますので、
 汚れが付きやすいのです。
 この汚れには様々なものがあります。

 毛が黒くなっていないからといって、
 汚れが付いていないとは限りません。
 汗、人の脂、空気中の汚れ、楽器拭き布のホコリ、
 弦から出る金属粉等、じつに様々です。
 そしてこれらが弓毛に付くことによって、
 松ヤニの乗りにむらができ、
 弦が引っかからなくなるのです。
 毛は、汚れやすい敏感ですから、
 絶対に手で触れないように気をつけてください。

●「毛のバランスの崩れ」
 弓の毛は同じ張力で、
 しっかりと張られなければなりません。
 もしも、バランスが崩れてしまって、
 各毛の長さに違いが出来てしまうと、
 ある毛が弦を引っ張ろうとしても、
 隣の弛んだ毛がまとわりついてしまいます。
 このような状態では大きな摩擦は生まれません。
 そして、そのような毛の状態の弓からは、
 輪郭のぼやけた音しか出なくなってしまいます。
 この状態を調べる方法は、
 毛を5分くらいの張り具合にした時、
 部分的には毛の張りのムラの大きさを見ることです。
 ただし、毛替え直後でも、
 完璧に各毛の長さが揃っているということは
 技術的に不可能です。
 その辺りは加味して考えてください。

●「毛の長さが長くなり過ぎた時」
 「毛替えのタイミング」で大きな要因となるのが、
 この「毛の長さ」です。
 この事についてはあまり意識されていない人が多いようです。

 毛替え直後から、毛の長さは変化していきます。
 その要因は、基本的には2つあります。
 「湿度による伸び縮み」、
 「毛を押さえているクサビ部分の遊びが無くなること」です。
 これらの2つの要因の組み合わせによって、
 毛の伸縮具合は変わってくるのですが、
 多くの場合には伸びる傾向にあります。
 すなわち、毛の長さが長くなりすぎた場合は、
 毛替えのタイミングです。」

$Ms.Violinistのひとりごと-アルチザン・作業台反対側












#
(Ms.Composer)からの質問:
「年に一度、毛替えを行う場合には、いつが最適でしょうか。」

#
(職人さんの答え):
「年に一度の毛替えの場合には、
 梅雨時の毛替えがもっとも理想的と考えられます。
 これは「毛の伸び」だけを考慮したものです。
 実際にはその他にも様々な要因が考えられます。
 あくまでも一つの目安と考えてください。」

以上。


#
ご褒美にちょっと、自己主張を書かせてもらえますので、
この場を借りまして一言。(面倒だから、いつも同じですが。)
「現代音楽を聴きましょう。特に邦人作品を。
 すばらしい試みが、あなたのおいでをお待ちしています!」
 ありがとう!

By "Ms.Composer." Special Thanks for "Ms.Violinist"

(Ende.(公認)アルチザンハウスKobe日記 2010年5月23日号)
The author is "Ms.Composer."
The verification is "Ms.Composer.

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