では、《サラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』作品20》》に
お話を戻すことにいたしましょう。
この楽曲はサラサーテ自身のヴィルトゥオーゾとしての
腕前を前面で出せるように、当時としては最新の技法が
ふんだんに織り込まれています。
付図は第3楽章の中間部ですが、音符に頭に『+』の
記号がつけられています。
さて、ヴァイオリニストはここで、どのような奏法を
行っていると思われますか?

ヒント:
右手の指で弦を弾くと『PIZZ.(ピッツィカート)』。

$Ms.Violinistのひとりごと-ツィゴイネルワイゼン Vnパート 第3楽章 中間部


それは、
「左手の指で弦を弾く『左手のピッツィカート』」です。

ヴァイオリンに限って申しますと、ピッツィカートといえば、
弓を持つ右手で弦を弾きます。記号『PIZZ.』。
ですが、『+』が音符の頭についた音符に対しては、
弦を押さえる役目を担う、左手で弦を弾きます。
弓で弾く音と、ピッツィカートされた音とは、当然
発せられる音色は異なりますから、この場合は、
一度に2種類の音色がヴァイオリンから出ているのです。
これは、左手のピッツィカートを伴奏に、右手で弓で弾くという
高度なヴァイオリンの奏法なのです。
ただ、左手のピッツィカートは、駒からずっと離れた位置で
弦を上向きに弾き上げることになるので、右手のものよりも
固めの音色が出ます。
ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストの《パガニーニ》が
開発しました。
 
他にも、ヴァイオリンには様々な演奏上の技法が
ございます。一例をあげますので、ご興味がおありの方は、
どうぞ、お読みになってくださいね。

『Arco.』
「右手のピッツィカートをやめて、弓で演奏する」は、
記号『Arco.』。これ以前に必ず、弦を指ではじく
ピッツィカート『Pizz.』とひと組で使われます。
「弓はきちんと右手でキープしてくださいねー。」

『ハーモニクス』 
「左手で弦を軽く押さえてハーモニクス(倍音)を出す」は、
音符の上に二分音符を菱形記号がつけられています。
弦を押さえず軽く触れて倍音を出す奏方です。
《フラジオレット》とも言います。
フルートや笛に音色が似ているので《フラジオレット》。

『バルトーク・ピッツィカート』
これは、ハンガリーの近現代作曲家のバルトーク・ベーラの
開発したピッツィカートです。
弦を指板と垂直に強く引っ張り、離して弦を指板にぶつけて、
発音します。「バチン」という音が出ます。
でも、私、この技法は気が進みませんね。
「だって、楽器が痛むもんっ!!」(笑)

$Ms.Violinistのひとりごと-ヴァイオリンとギター(写真)














(Ende.サラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』作品20(第4夜))
The author is "Ms.Violinist."
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