ヴァイオリンを奏でられる皆様は、楽器の健康状態について、
ちゃんと関心を持たれていらっしゃいますか。

楽器の健康管理(メンテナンス)は、毎日の基礎練習と共に
皆様が日々、ご自分の楽器とお過ごしになる中で、
いつも気遣いをしてあげたいものですね。
早くに楽器の病気(異変)に気が付けば、それだけ
病気からの回復も早くなりますから。

上手に調整された楽器からは良い音が出ますし、
長時間に渡って練習しても、疲れにくいのです。

ヴァイオリンを奏でる皆様向けの
"奏者がすべき保守"についてのレクチャーを
させていただきたいと思います。
それでは、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

$Ms.Violinistのひとりごと-指板1
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第20回「ニス」(1)
●"「ニス」の種類について"
ヴァイオリンに塗るニスには、大きく分けて
「アルコールニス」と「オイルニス」があります。
両者の違いは、樹脂を溶かす溶剤が、
アルコールか、テレピン油かの違いで、
どちらが優れているというものではありません。
アルコールニスは、速乾性があるために塗る作業が困難、
一方オイルニスは、乾きにくい等の違いはあります。

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ニスに艶があり、透明色があるものが好まれます。
色合いも、赤みがかったもの、茶色っぽいもの、
オレンジ色っぽいもの、黄色いものなど様々です。

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クレモナの一般的な工房の例をお話しますと、
良質なヴァイオリンでは、ニスを手作業で、
最低でも1ヶ月以上も掛けて、塗り込み仕上げます。
ニスを1層塗ったら、次に塗布するまでに1週間以上乾かし、
それを15層程度まで、重ねて塗る作業が行われています。

$Ms.Violinistのひとりごと-E線について












●"「ニス」の役割について"
ニスの役割のうち、最も大切なのは「楽器の保護」です。
成型され組み立てられたばかりのヴァイオリンは、
白木が露出しており、そのままでは、汗などの水分や
汚れなどが木材に染みこんでしまいます。
ニスを表面に塗布することで、それらから保護しているのです。

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また、ニス層は薄いながらも、木材の強度を増しています。
外部からの軽い衝撃から木材を保護しています。
ニス自体の性質も重要で、柔らかで軽いという点、
つまり木の膨張圧縮変化に従って、楽器をきちんと
包み込まなければなりません。

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さらには、音響効果があげられます。
ニスを塗らないヴァイオリンは、非常に高い周波数帯の音を
出しやすく、耳障りな音になってしまいます。
しかしニスにより木材が硬化することで、
この耳障りな音を取り除く効果があり、
低音から高音まで美しく響くようになります。


皆様が素敵なViolinライフを過ごされますように。

(Ende.レクチャー:ヴァイオリニストがすべき保守
 (第20回) 「ニス」(1))
The author is "Ms.Violinist."
The verification is "Ms.Composer."


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