皆様は、J.ハイドンをご存じでしょうか。
"交響曲の父"、あるいは"弦楽四重奏曲の確立者"と呼ばれる、
W.A.モーツァルトと同時代を生きた大音楽家のひとりです。
音楽にそれほど詳しく方でも、学校の音楽室に
飾られてあった大音楽家たちの肖像画の中、
ちょうど、W.A.モーツァルトのお隣にカツラを付けた
品の良いおじさまがいらっしゃったと思います。
そう、それがJ.ハイドンなのです。
あー、髪の毛がモサモサで眼光鋭く、楽譜と羽ペンを
握りしめておられる方、それはベートーヴェンさまです。

$Ms.Violinistのひとりごと-ハイドン(油絵)
















で! そのJ.ハイドンなんですが、
当時としてはとても長生きされて、作品数も多い上に、
仕えた主君がアマチュアの音楽愛好家だったので
主君も楽しめるように比較的演奏しやすい音楽も作られました。
それらのお陰で、後に出版された作品の評判もよく、
一般の音楽愛好家が好んで彼の作品を演奏するのですが、
中には、崇拝の想いが強すぎて、J.ハイドンの作風を
まねて作曲をしちゃう方まで現れてしまうのです。
なにぶん、17世紀後半から18世紀初頭を生きた方で、
作品の研究と整理収集が始まるまでの間に、本物の彼の
音楽に紛れ込んだ他人の手によるものもかなりの数です。
それら、他人の手によるJ.ハイドン作と称された"偽作"が
今日も私たちを悩まし続けているのです。

今回から、"J.ハイドンにご用心!
 …偽作に悩まされる大音楽家"のタイトルで、
この偽物に翻弄されたJ.ハイドンにまつわるお話を
したいと思います。
どうぞ、最後までお付き合いくださいませ。

*
では、付図の楽譜をご覧ください。
これは、ある有名な交響曲の第1楽章の冒頭(主題提示部)の
主旋律(第1ヴァイオリン)のパート譜です。
この交響曲の通称が次の中にあります。
それは、どれだと思われますか。
※最もよく知られた名前を答えてくださいね。

(1)おもちゃの交響曲
(2)音楽の冗談
(3)ジュピター交響曲
(4)田園交響曲

$Ms.Violinistのひとりごと-おもちゃの交響曲 Vn1 冒頭










それは、"おもちゃの交響曲"です。

ヴァイオリン等、本来のオーケストラの楽器に加えて、
本物の”おもちゃの楽器"を使用するように楽譜に
記されています。
単純明快な曲で、子どもがおもちゃの楽器を手に
参加できるので、ドイツでは別名《子どもの交響曲》とも
呼ばれています。
全3楽章で構成され、"すべての楽章に"
おもちゃの楽器が登場します。
「ガラガラガラ……、プップク・プー、タンタカ・タン!」
という具合に。

主君のワガママをいさめるために書いた"交響曲『告別』"や
曲の途中で居眠りをする貴族たちを起こすために
大音響を鳴らす"交響曲『驚愕』"などと同じく、
如何にもJ.ハイドンらしいユーモアに満ちた
明るく愉快な交響曲だと思いませんか?
クラシックは、決して難しいものではなく、楽しいのですよ。
「皆様もお気軽に演奏会にお越しくださいませ。」(笑)


(Ende.J.ハイドンにご用心!
 …偽作に悩まされる大音楽家(第1夜))
The author is "Ms.Violinist."
The verification is "Ms.Composer."


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