さて、"ブラームスのヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77"と
関係の深い作曲家は、シベリウスだけではありません。
作曲家で、さらには"ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニスト"
として、今日では知られるサラサーテ(1844-1908)も、
この曲に縁が深いのです。
さて、それはどんなことでしょうか? 

ヒント:協奏曲とは、独奏者の技巧を聴衆に見せるためのもの。

$Ms.Violinistのひとりごと-パブロ・サラサーテ(写真)




















それは、
「ブラームスがサラサーテの演奏に刺激を受けて、
 協奏曲を書いた」です。

ただし、刺激を受けたと言っても、反面教師的な事を
ブラームスは、感じていたようです。
ブラームスの友人へ宛てた書簡には、 
1877年9月に温泉地の『バーデン・バーデン(*注1)』で
"ブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番"をサラサーテが
演奏するのを聴き、その演奏に強い感銘を受けたことと同時に、
作品が技巧の披露の他には、何ら内容なく希薄であり、
自分としては、より交響的な幅広い色彩感と、独奏ヴァイオリンの
技巧を兼ね備えた新しい形のヴァイオリンのための協奏曲を
書いてみたいと記されています。

当時のヴァイオリン協奏曲は、パガニーニらの
イタリア系(*注2)の技巧を追求し、管弦楽は主題提示と
トゥッティの他は、独奏ヴァイオリンの伴奏に終始し、
管弦楽本来の様々な楽器による美しい響きや、
独奏ヴァイオリンとの掛け合いなどは全くと言ってよいほど、
おざなりにされる傾向にありました。

何処かのマエストロが『子どもにはアダージョが弾けない』と
言って、おりましたが、それには続きがあって
『機械的な技巧なら出来るのだがね。』というものです。
ブラームスも、そーいうところに思い至ったのでしょうね。
「私もアダージョが情感豊かに奏でられるよう、
 日々精進いたします」。

(注1):バーデンバーデンは、ドイツ語で「お風呂・お風呂」の意味。
    つまり温泉のこと。
    ドイツの温泉は、日本のように湯温は高くなく
    ぬるま湯か、ほとんど水かなと思うほどの温度のところが大半。
    また、温泉の利用法で、日本とドイツとでは、大きな違いが
    2つあります。
    ひとつは、温泉は浸かって暖まるものじゃなくて、みんなで
    ガブガブと飲むのです。
    20度前後なので、温泉に浸かっていると風邪をひきます。
    もうひとつ、これは絶対に守ってくださいね。
    大騒ぎになるから。
    「温泉では必ず水着を着用!!」(絶対にっ!!)
     
(注2):イタリア系のヴァイオリン流派は、
    パガニーニからナポリ派の《悪魔のトリル》で有名な
    タルティーニやヴィヴァルディ、そして、コレルリまで遡れます。
    イタリア300年の歴史ですよ。

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(Ende.ブラームスのヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77(第4夜))
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