東京芸術大学卒業。ミューラー・スカラシップ第1回招聘により留学。1965年N.Y.マンハッタン音楽大学大学院オペラ科修了。ジョーン・ブラウンリー、レオ・タウブマン、カルミネ・ガリアルディ、クルツ・アドラーに師事。
1957年二期会公演「ドン・ジョヴァンニ」のツェルリーナでオペラデビュー。二期会会員となる。続けて「魔笛」のパパゲーナ、「こうもり」のアデーレ、「カルメン」のミカエラ、「ラ・ボエーム」のムゼッタ、「あまんじゃくとうりこひめ」(初演)のあまんじゃく、「夕鶴」のつう、などなど、デビュー後3、4年の間に忽ちオペラの寵児となった。彼女が身につけている生来の魅力は舞台に初々しく香り高い花を咲かせ、その天性の軽妙な舞台さばきは、人々を魅了せずにはおかない。特にスーブレット(少女)役に定評がある。オペレッタ、ミュージカル、更にTVでは1958-1960年までクール・アヴェイユのメンバーとしてNHK TVに毎週出演した。1961年「新進声楽家の夕べ」新人賞受賞。同年招聘留学生としてN.Y.マンハッタン音大大学院オペラ科に留学。
1963年アーティスト・アドヴァイザー・カンシル全米コン第1位受賞。1964年スイスとの修交100年記念の音楽使節として、チューリッヒ、ベルン、バーゼル他各地でジョイント・コンサートに出演。その間ニューヨークにおけるオペラ公演はフランスの作品が多い。「ミレイユ」のミレイユ、「真珠採り」のレイラ、「ロメオとジュリエット」のジュリエット他、「ドン・パスクァーレ」のノリーナ、「セヴィリアの理髪師」のロジーナ、「ラ・ボエーム」のムゼッタ他を演じ、好評を博した。
1965年帰国後、二期会オペラ、文化庁主催オペラで「コシ・ファン・トゥッテ」のデスピーナ、「フィガロの結婚」のスザンナ、「袈裟と盛遠」(初演)の白菊などで活躍する一方、1970年東京室内歌劇場の旗揚げ公演に参加、「田舎の智恵者」「賢い女」「アメリア舞踏会に行く」等。1973年東京室内オペラ協会に於いてもハイドンの「いつわりの恋にみのりなし」「英雄オルランド」他など本邦初演作品の出演が数多い。邦人作品のオペラも数多く初演しているが、オペラは50数演目の主役(準主役)を演じている。
またリサイタルの方も1961年第1回から65年のNHKのTVリサイタルも含め、1992年のデビュー35周年記念リサイタル(イイノホール)で9回。中でも1978年に芸術祭参加として行った自主企画(委嘱作品)によるモノオペラ「女はすてき」、1983年に芸術祭参加サントリー財団推薦コンサートとなった日本歌曲によるリサイタルは高い評価を受けた。
国外ではボストン・ミュージアム主催のリサイタル、NBCテレビリサイタル及びシカゴ、オハイオでのリサイタル、メイン・ポートランド・シンフォニーへの客演等。また国内でのオーケストラとの共演は読売交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団の定期に招かれる他、第九シンフォニー、メサイアのソプラノ独唱者としての出演は数多く、東京音楽大学の定期公演のハ短調ミサ(モーツァルト)、ロ短調ミサ(バッハ)の独唱も特筆すべきであろう。
オペラから歌曲に至る多彩なレパートリーもさることながら、加納純子X’masディナーコンサートも10回目を迎えレパートリーも益々広がっている。
1961年に1枚目のLP「滝廉太郎名曲集」(東芝)を出してより1990年までにLP計7枚を発表し、1988年にフォンテックよりCD「芥子粒夫人」が発売されている。
現在二期会会員、東京室内歌劇場会員、品川音楽文化協会理事。女声合唱コーロ・マードゥレ指揮。


The Tokyo Chamber Opera Theatre より