天王寺前夕陽ヶ丘出口から

 

 

首都圏の学生にとっては縁がないであろう、他方で名前だけは聞いたことがある、という子が多い、大阪男子校トップの星光。 現在cocにはobの子達が直接間接で関わってくれており、彼らのやりとりを元に星光の課題について考えてみたいと思います。

 

最寄りは天王寺前夕陽ヶ丘

 

文化祭にもお邪魔しましたが、天王寺前夕陽ヶ丘からアクセス0分という好立地で校舎もとても綺麗です。 これだけでも安心感を持って通わせたいと思う父兄は多いんじゃないでしょうか。

 

 

 

生徒一流

 

 

 

校内にゆったりした雰囲気が流れている大きな理由の一つに、学生のポテンシャルの高さがあります。 「上から下までピンキリですよ」とはいうものの、今関わってくれている子たちは抜群のものを備えている子たちです。

 

具体的には科学にも理解を示せれば、人を束ねる力もあり、心身も健康で力強く、自分をよくわかっている子達です。 これは他校;例えば灘や開成obの子達と比べても、特に上の方の子達はポテンシャルではまったく引けを取らない手応えがあります。

星光の受験のスタイルでも、センターそこそこで二次の底力で抜けていくというのが通常で、 これができるということはポテンシャルが高いことを意味しています。

他方で多くの学校では、二次で巻き上げることが難しい学生が多いため、 センター叩き上げでなんとか抜けようというスタンスにならざるを得ないのが通常です。

 

 

合宿文化からくる連帯感

 

 

 

大阪星光と言えば長野と和歌山にある合宿所です。実際に見たことはありませんが、obの子達曰く、 「校舎と変わらぬ規模の物が建っている」とのこと。

 

合宿を通じて同じ釜の飯を食うことで、心を互いに打ち明けることがより円滑にできるようになるようです。

 

 

コンパクトなサイズ(200)

 

 

 

1学年200人と、人間が強い絆を持って認識できる130-230程度のレンジに収まっており、 これも同期同士の結束の強さを促しています。横の強さはかなりのものであるようです。

 

 

 

裁量の幅

 

 

 

ここから弱点に入ります。あくまでobからのヒアリングに基づくものですが、学園祭や学内のイベントをするにも、 例えば灘と比べても中々裁量を与えられず、予算の割り振り具合やインセンティブも含め、 大体な企画をやりきれていないことに歯がゆさを感じることがあったようです。

 

なお一般論として、直接的な因果関係は証明できませんが、学生に与える裁量を限定する傾向は、 カトリック系の学校全般にあります。

首都圏でもカトリック系の名の知れた学校がいくつかありますが、 特に学部への情報公開や個人単位での活動の背中を積極的に後押しするスタンスを明示している学校は中々見当たりません。

事実競技やコンテストでもカトリック系の学校の学生は中々名前を目にすることはありません。

 

 

縦の関係・後輩への指導力

 

 

 

生徒会をはじめとして体育祭や部活動でも、縦の繋がりが弱く、企画や文化を引き継ぐということも少ないようです。 これも他校との比較ですが、縦の強さが弱いため、先輩に対するrespectも手応えとしては曖昧なものを感じているようです。

 

後輩を育てる能力が備わっている現役生が中々育ちにくい環境にあるようです。原因はわからないとobの子達とも話していましたが、 能動的に語りかけたり、声をかけてアドバイスを送ると言った文化は、彼らが所属していたところではなかったようです。

 

 

縦の組織力

 

 

 

総じて組織力、具体的には段取りをしたり周りを見ながら調整していく力には不安が残るようです。 もちろんこれは個々の学生がリーダーシップの資質を備えていないということではなく、能動的に組織を作り、 自分たちの力で動くという機会が中々無いようで、周りを見ていても磨かれているなと実感がある子はさほどないようです。

 

 

 

近くて遠い四天王寺

 

 

 

宗教の壁や男女の差も多分に影響しているかとは思いますし、これは星光側に問題がある、ということではないのですが、 星光ob、四天王寺ogの双方から伺う限り、至近距離にある四天王寺とすら、付き合いはほぼないようです。

 

四天王寺は大阪トップの女子校のポジションでもあるため、また京阪神には上位の共学が中々見当たらないですから、 この2校の学生同士が連携すればできることも多くあるとは思われるものの、断絶状態にあるのは極めて残念だなと感じます。

なお首都圏にも校外との接触を暗黙裡に戒める女子校は多くありますが、 リベラルな一部のポテンシャルの高い子が揃う学校はこれにはあたりません。

 

 

(個ではなく)学校としてのカラー

 

 

 

大阪の学校全般に感じられることですが、学校自体のカラーには、明示的なものは感じられない、とobと意見が一致しました。 具体的には開成の運動会で見られる組織力や、JGの文化祭で見られる段取りの安定感といったものです。 こうした認識はobにもあるようです。

 

尤もこれは関西圏の学校全般がその傾向を感じるところでもあり、首都圏と比べても科学寄りの学生が多いということもありそうです。 自身のidentityを日頃から他者や外部環境と照合しながら生きている学生は少ないのかもしれません。

 

 

obとの対話を通じて今も昔も度々感じていることは、「ポテンシャルは高いのだけれども、外部との交流が盛んなわけでもなく、 尖っている子は、灘や開成あたりと較べてもさほど多くないのかもしれない」「リーダーシップを磨く機会はさほどないのかもしれない」という2点です。

 

 

他方で立地や校内環境の居心地の良さから、外の同世代の子達に目が向きにくいというのはあるのかもしれません。 例えば海外進学をする子も(但しこれは多ければいいということではないのは百も承知ですが、)年に1人いるかいないか、 という点も若干気になれば、四天王寺はもとより、灘や神女、甲陽や東大寺の子達と 活発に交流があった、という子は、周りのobにはいません。当然首都圏の学生とも無かったようです。

cocではdiversity(多様性)という言葉を繰り返し用いていますが、一貫校の場合、6年間同じ環境にいると同質化してしまい、 個の能力がvariation(固体差)が生まれたとしても、価値観を形作る基盤の部分が同じであるので文化障壁を超える力が 衰えてしまいがちです。

まずは兵庫や奈良の学生から、慣れてきたならば首都圏や地方の学生とも交流することで、自分の世界と可能性を広げてほしいと思います。


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