「申し訳ないが、僕たちはこの店で家具を買うつもりはないよ。
家具を含めたすべてのインテリアは、アメリカの有名な
インテリアデザイナーにお願いしているんだ」
超セレブなお客さまはきっぱりとおっしゃいました。
普通だったらここで諦めるのではないでしょうか。
私はインテリアの経験はたったの2年、
そのうえ週2日のパート社員だし、
正直いうとインテリアセンスも持ち合わせていません。
ただ「好き」というだけでこの業界に入った身。
アメリカの有名なデザイナーに敵うわけないのです。
しかし、私は諦めることができませんでした。
自信があったわけでも、
「大きな売上げを出して、会社に認められたい」
と思ったわけでもありません。
そのときこう考えたのです。
『アメリカのインテリアデザイナーは、
間違いなくかっこいいインテリアをつくるだろう。
しかし、このお客さまとは何回も会うことはない。
かっこいいだけの冷たいインテリアになるかもしれない。
そんななかで、お客さまが幸せに暮らせるわけがない。
私なら、このお客さまに何回もお会いして、
趣味嗜好だけでなく、夢や憧れ、ご家族の関係性、
日々の生活のことなどたくさんのお話をお聞きしたうえで
ご家族が笑顔の絶えない暮らしやすいインテリアの提案を
することができる。
お客さまを幸せするインテリア提案をできるのは私の方だ!』
加えて、私は家具が大好きだったので、
愛着を感じないまま家具を使ったら、
家具たちが可哀相だとも思いました。
だから諦めることができなかったのです。
それでお店を案内しながらお客さまに、
「家具というのは、
毎日座ったり触ったりして使うものですので、
本当に自分の体型に合っているかどうか、
座り心地はどうかなど、
実際に確かめたうえで買うのがよろしいかと存じます。
家具はカバンや靴のように簡単に買い替えられるものでもなく、
何十年も毎日使いながら家族の歴史が刻まれていきます。
写真を見ただけで決めてしまってはいけないと思うのです」
こんなことを、さりげなくお話しました。
すると、お客さまの表情が少し変わったように見えました。
店内をさらにご案内していくと
お客さまはあるテーブルの前で足を止め、
「このテーブルいいね。俺はこういうのが好きなんだよ」
ご主人さまが奥さまにおっしゃいました。
天板が3メートル以上もあるスペイン製のテーブル。
無垢の分厚い一枚板を使った立派なテーブルでした。
・・・つづきます。明日も読んでくださいね
※文中の画像はあくまでもイメージです
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