◆腎臓を壊す四悪きょうだいの数値◆
慢性腎臓病は、腎臓が慢性的な機能低下状態におちいるさまざまな病気の総称です。
慢性腎臓病の定義が国際的に導入されたのは2002年のことでした。
それからわずか20年ほどの間に、患者数は急激に増えています。
日本国内における20歳以上の推定患者数は、05年の時点では1330万人。
それが15年には1480万人まで増加。
24年の統計ではさらに増えて、2000万人という数字が出ています。
これは20歳以上の国民の実に5人に1人が患っているという計算です。
◆患者数が増えた背景
慢性腎臓病を引き起こす主な疾患として、糖尿病や高血圧といった生活習慣病がありますが、
治療薬は進化していますし、近年になって著しく数が増えているわけでもありません。
急増している主な原因、それは、年をとること。いわゆる加齢です。
ネフロンは年齢を重ねるにつれて数が減っていきます。
それにともなって、腎臓の機能も自然に衰えて、
原因となる疾患を抱えていなくても、慢性的に腎機能は低下してしまうのです。
もはや、慢性腎臓病は誰もが目を背けることができない問題であり、
新しい国民病といっていいでしょう。
◆高血圧・高血糖・高尿酸・高LDLコレステロールが腎臓を壊す
腎機能の低下は、そのスピードにかなりの個人差があります。
80歳や90歳になっても腎臓が元気に働いている人もいれば、
40代でだいぶ弱っている人もいます。
ここで浮上するのが高血圧、高血糖、高尿酸、高LDLコレステロールという4つの危険因子です。
これらは、腎臓を痛めつける四悪きょうだいともいうべき存在。
腎臓に大きな負荷をかけ、加齢とともにゆっくり進むはずの機能低下を加速させてしまうのです。
高血圧や高血糖は血管にダメージを与えることが知られていますが、
大量の血液をろ過するネフロンの糸球体も、毛細血管の集まりです。
そのため、腎臓もまた、高血圧や高血糖の悪影響をダイレクトに受けてしまうのです。
高血圧や高血糖は、腎臓内の血管にダメージを与えて
慢性的な炎症や動脈硬化を招くとともに、糸球体のろ過機能も壊します。
毛細血管のかたまりである糸球体のまわりには網の目のように細胞が絡みつき、
フィルターの役目を果たしています。しかし、高血圧や高血糖の状態が続くと、
過剰な圧がかかることで細胞がはがれ落ちてしまいます。
その結果、ろ過機能は低下し、本来は体に残すはずのものが尿として出てしまうようになります。
こうなると、腎機能はみるみる悪化していきます。
◆腎臓を壊す四きょうだい
尿酸値が高くなっている場合も、腎臓にとっては大ごとです。
尿酸はプリン体を摂取した際に分泌されますが、尿酸値が高いと痛風になります。
痛風といえば美食家がかかる病気で、
足の親指の付け根などが激しく痛むイメージが強いかもしれません。
これは痛風結節と呼ばれるもので、足などの関節内で尿酸が結晶化し、
炎症化することで起こりますが、同じように腎臓にも尿酸の結晶ができてしまうのです。
これは痛風腎と呼ばれ、炎症も起こして腎機能を大きく低下させてしまいます。
もうひとつ、LDLコレステロールも要警戒な存在です。
悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロールは、過剰になると血管に沈着し、
悪影響を及ぼします。腎臓内でも糸球体などの血管に沈着し、
動脈硬化を進めてしまうのです。
もし、健康診断でこれらの数値が正常値の範囲から逸脱していたら要注意です。
改善しないままだと、そのうち腎臓にも異常が生じます。
もちろん、これらは腎臓以外にとっても厄介者です。
高血圧や高血糖は生活習慣病を招く大きな要因ですし、
尿酸やコレステロールの異常は腎臓より先に心臓に障害を与えます。
全身の健康のためにも、腎臓を壊す四きょうだいを暴れさせないよう気をつけましょう。
