◇夏の終わりに感じる寂しさ◇
秋の気配が近づくころ、特別な理由もないのにふと寂しさや
心のざわつきを覚えることがあります。
その変化は季節の移り変わりによる生理的な反応であることが多いのです。
気持ちを無理に変えようとせず、自然な身体のリズムとして受け流しながら、
自分のペースを整えていく過ごし方をご紹介。
■季節の変わり目に心が揺らぐ理由
夏の終わりから秋にかけて生じる気分の落ち込みは、
心の問題というよりも環境の変化に伴う身体の反応です。
・日照時間と気温の変化の影響
8月後半になると、真夏のピーク時に比べて
夕暮れの訪れが急に早く感じられるようになります。
まだ暑さは残るものの、朝晩の風の涼しさや虫の声など、
季節の移ろいを示す小さなサインが日常に増えていきます。
こうした急激な環境の変化に加え、体温や呼吸、血流などを
コントロールしている自律神経への負担も重なります。
自律神経には、活動時や緊張時に優位になる「交感神経」と、
休息時やリラックス時に優位になる「副交感神経」の2つがあります。
夏の間は、厳しい猛暑と冷房による急激な寒暖差に適応しようとするあまり、
身体を興奮させたり緊張させたりする交感神経ばかりが過敏に働き続けていました。
この交感神経が優位になりっぱなしだった状態の反動と疲労が一気に出てくるのが、
この夏の終わりの時期です。
さらに、強い光を浴びていた真夏に比べて日照のピークが過ぎることで、
気分を安定させる神経伝達物質「セロトニン」のリズムも揺らぎやすくなります。
この時期の寂しさや物足りなさは、夏の高揚感の収束と心身の疲れが重なって生じる、
自然な生理反応なのです。
■原因を考えることもマイナスに
正体のわからない寂しさを感じたとき「なぜこんなに気分が落ち込むのだろう」
「何か気がかりがあるのだろうか」と、頭の中で理由を探し続けてしまうことがあります。
心理学では、否定的な考えや疑問を頭の中でぐるぐると繰り返し思い悩む状態を
「反すう思考」と呼びます。
明確な理由がない感情に対して原因探しを続けてしまうと、
過去の出来事や将来への漠然とした不安など、別のネガティブな記憶と結びついて
余計に気持ちが沈んでしまう悪循環に陥りやすくなります。
夏の終わりの時期は、この状態が季節の移ろいによっても生じやすくなります。
■揺らぎを受け流して心身を休める工夫
1.日常の刺激を減らす
夏の間に活発に動いていた生活から、少しずつペースを落としていくことを意識してください。
休日の予定を詰め込みすぎず、何も決めない時間をあえて確保してみるのです。
何も決めない時間を作ってもダラダラとスマホを見ていると
刺激を減らすことにはつながりません。
スマホを見る時間を少し減らし、人と会う約束を調整するなど、
外からの情報や刺激から距離を置いてください。
周囲のテンポに合わせようとせず、生活の速度を一段落とすことで、
消耗した心身を自然に休めることができます。
2.身体を温める
思考で気分をコントロールしようとするよりも、
身体の感覚から整えていくほうが実は手っ取り早いです。
身体の感覚を整えていくとは、例えば、朝起きたときにカーテンを開けて日光を浴びる、
ぬるめのお湯にゆっくり浸かる、温かい飲み物を選ぶなど、
身体に心地よい刺激を取り入れることを指します。
夏場はどうしても冷房や冷たい飲食物で内臓は冷えがちです。
それを物理的に温めることは、自律神経のバランスを回復させる手助けになります。
頭であれこれと考え込むのをやめ、五感で感じる温かさや心地よさを優先することが
心のゆらぎを静めてくれます。
■自然なサインだと受け入れる
夏の終わりに感じる寂しさや気分の落ち込みは、
心身が季節の移り変わりに順応しようとしている自然なサインです。
理由を探して無理に気分を奮い立たせようとする必要はありません。
活発に動いていた夏のペースから少し速度を落とし、
日常の刺激を減らしたり身体を温めたりしながら、
静かに自分をいたわる時間を取ってみてください。
心身の揺らぎをそのまま受け流していくことが、
穏やかに秋を迎えることにつながります。
