◆ボロボロ血管◆
ピーク時の血管をたとえるなら、新品のゴムホースです。
弾力性があり、中もきれいなまま。
しかし、使い続けていると、ゴムホースは外も内もくたびれてきます。
外側は弾力性が失われ、内側には汚れがたまってきます。
血管も同じです。
加齢とともに劣化しても、血液がまったく流れなくなることはありません。
流れなくなるのは、血管が破れたり、完全に詰まったりしたときです。
血管とゴムホースの決定的な違いは、
ゴムホースは道具を使えば内側を掃除することができますが、血管は掃除できないことです。
要するに、血管は汚れたら汚れっぱなし。それが、ボロボロ血管の最大の要因です。
ボロボロ血管は、10年、20年という長い年月をかけてつくられるのです。
■血管には3種類ある
血管は、いくつかの段階を経てボロボロになっていきます。
血管には動脈、静脈、毛細血管という3種類があります。
それぞれの役割を簡単に紹介すると次のようになります。
・動脈…酸素をたっぷり含んだ血液を心臓から全身に送り出す
・静脈…老廃物や二酸化炭素を含んだ血液を心臓に戻す
・毛細血管…体の隅々まで酸素や栄養を届け、老廃物や二酸化炭素を回収する
3種類の血管は構造にも違いがあり、動脈と静脈は、血管を守る「外膜」
血管を伸び縮みさせる「中膜」
血管の中を通る血液と直接触れる「内膜」の3層構造で
毛細血管は内膜だけの1層構造です。
3種類の血管の中で、ボロボロ血管になりやすいのが動脈です。
というのは、大量の血液を送り出す動脈は血管にかかる負担が大きいからです。
逆に静脈や毛細血管は負担が小さく、毛細血管の場合は極細なため、
血管をボロボロにするLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が
たまりにくいという特徴もあります。
ただし、加齢による劣化は、静脈も毛細血管も避けられません。
動脈は、いくつかの段階を経てボロボロになっていきます。
・第1段階…血管の内膜がダメージを受ける
血圧やLDLコレステロールが高い状態が続いたり、喫煙習慣があったりすると、
血管の内膜がダメージを受け、それを修復するために炎症反応が起きます。
擦りむいたり、引っかいたりしてできた傷が自然に治っていく工程が、
血管の中でくり返されるということです。
・第2段階…血管の内側に脂肪やコレステロールがかたまりをつくる
何度も血管の内膜がダメージを受けると、
その場所に脂肪やLDLコレステロールなどがたまりやすくなり、
やがてプラークというかたまりをつくります。
・第3段階…かたまりが大きくなる
脂肪やLDLコレステロールなどが積み重なりプラークが大きくなると、
血管の中膜は分厚く硬くなります。
プラークが大きくなれば、血管の直径は変わらないため、当然ながら血管の内腔は狭くなります。
・第4段階…かたまりにカルシウムがくっつく
プラークが大きくなると、カルシウムもたまりやすくなります。
骨の原料でもあるカルシウムがたまるとかたまります。これが石灰化という現象です。
加えて、加齢の影響で血管そのものも硬くなってくるため、
余計に血管は柔軟性を失うことになります。
・第5段階…かたまりが破れる
プラークがつくられるようになると、血管の内膜がダメージを受け破れやすくなります。
破れると血液に触れて血栓がつくられます。
多くは自然に溶けて消えてしまいますが、大きな血栓になると血管が詰まる原因になります。
心臓の冠動脈で起こると心筋梗塞、脳の血管で起こると脳梗塞です。
¥第6段階…血管にこぶができる
プラークが大きくなり血管の柔軟性がなくなると、
高い圧力がかかり、血管がこぶのようにふくらみます。これが、動脈瘤。
こぶが大きくなると、破裂するリスクも高くなります。
第6段階まで到達すると治療しなければ、いつ血管が破裂するか、詰まるかは運しだい。
血管がボロボロになるまで放置するのは、
死神に寄り添われながら生きているようなものです。
長く生きていれば、誰もがピカピカできれいな血管というわけではありません。
あくまでも劣化のスピードをゆるやかにするのが目標です。
そうすることで、十分に100年生きる血管を維持することができます。
