◇心と体はつながっている◇
高齢になるほど心と体の結びつきが強くなります。
高齢になるほど、心が弱ると体も弱りますし、逆に体が弱ると心も弱ってしまうのです。
精神神経免疫学という分野においては、
心の状態が悪くなると免疫機能が低下することは問題になっています。
ある研究では、うつ病になるとNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が
半分程度に下がるとされています。
このNK細胞というのは、体内にできた出来損ないの細胞を掃除してくれる免疫細胞で、
この細胞の活性が高ければガンになりにくいとされています。
ところが、この活性が40代になると20代の半分、70代になると10分の1に落ちるというのです。
80代ともなるとさらなる低下が予測されます。
そうなると、もともと免疫活性が低い高齢者ほど、
心の具合が悪くなることは危険なこととなってきます。
免疫活性がさらに下がり、そのダメージが大きくなるからです。
アメリカとは違い、死因の第1位が心臓病ではなくガンである日本では、
メンタルヘルスを良好に保つことがガン細胞を減らし、確実に長寿につながります。
年をとっても健やかに楽しく過ごすためには、心を健康に保つことが第一なのです。
なのに、高齢になってから不安やストレスが強くなり、
人生の楽しみや喜びを見失ってしまう人が多くなります。
これは、脳内の“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンが、
加齢とともに分泌されにくくなるからです。
また、老化が進むと、脳内の感情をコントロールする部位である前頭葉の萎縮が進み、
感情が衰えます。このことも、不安やストレスを感じやすくなる要因です。
こうした脳の構造的な変化に加えて、定年退職や、愛する家族、ペットなどの喪失体験、
食欲低下や便秘、不眠などの身体的不調が重なると、
人は、悲観的な考えになりやすくなるのです。
たとえば、年をとることが不安でしかたがない、死ぬことが怖くてじっとしていられない。
そんな考えにとりつかれたときは、
脳の構造の変化と身体的不調が重なっただけにすぎないのです。
心が弱くなってしまったとか、1人に耐えられないとか、そんなメンタル的な理由ではありません。
落ち込むのは、気持ちや心が弱いからだと思い込む方がいらっしゃいますが、
これは間違いです。心には、本来、強いも弱いもないのですから。
■前頭葉を鍛えて老化を防止する
湧き上がる不安やストレスは、80代ともなると宿命です。
前頭葉が萎縮し、セロトニンが減れば誰でも暗くなってしまいます。
だからといって、前頭葉の老化、すなわち「感情の老化」を放っておくと、
ボケやすくなり、体も見た目も加速度的に老け込んでいくことになるのです。
逆説を考えると、前頭葉の若さを保ち「感情の老化」が防げれば、
多くのボケ状態も未然に阻止できるし、
体や見た目の老化もストップできるということになります。
それゆえ、脳から全身に広がる老化を防止するには、
まずは前頭葉を鍛えておくことが必須なのです。
■セロトニンを増やす方法
●買い物で前頭葉を鍛える
「どうお金を使うか」を考えるとき、前頭葉は活発に動いています。
何かを買うときにどのくらいお金を使うと予算内に収まり、
しかも自分が満足するかと考えることは、実はかなり真剣で奥の深いこと。
買い物は、想像力や企画力、計画力を問われる極めてクリエイティブな行為なので、
お金を使う機会は頭を使う機会と心得ましょう。
●異性にモテたい欲も大切
脳を老化させないためには、前頭葉を強く刺激する「喜び」や「感動」が欠かせません。
日本には、加齢とともに年相応に枯れていき、
悟りの境地に至ることを理想とする考えがあります。
生きている間は懸命に生きてこそ、生命に真の美しさが宿るのです。
「年甲斐もなく」などと考えて、自らを枯れた老人にしないでください。
「欲望」は生命力の源です。生きている証です。
欲望が枯れてゆけば、老化が進んで生命の灯も自ずと消えていきます。
異性にモテたいと思うこと、恋をすることは、前頭葉にとって大きな刺激になります。
恋愛時には、エンドルフィン、ドーパミン、セロトニン、オキシトシンといった
脳内ホルモンが大量に分泌されることがわかっています。
これらのホルモンは、幸福感、快感、愛情、安らぎといった感情を呼び起こすのです。
実際の恋愛でなくてもかまいません。アイドルや俳優に疑似恋愛をすることは、
前頭葉の刺激になり、脳内ホルモンを分泌させることがわかっています。
推し活もおすすめです。
老いてくると、数々の試練が待っています。
その試練を飄々と軽やかに乗り越えていくためには、
楽天的であることが、とても大事なことなのです。
