◆「脳の老化」を知らせる10の兆候◆
脳の老化は一般的な傾向としては、前頭葉(特に前頭前野)、海馬、側頭葉、
頭頂葉、後頭葉、小脳、脳幹などの順に機能低下が起こりやすいといわれます。
前頭葉にある前頭前野は、私たちの思考や行動をコントロールする
脳の司令塔のような存在で、機能が低下すると、
日常生活のさまざまな場面で老化のサインが現れます。
まず、怒りっぽくなったり、我慢できなくなったりします。
誰かにイラッとしたとき「ここで怒鳴ったらまずいな」とグッと我慢できるのは、
感情を抑えたり、冷静に判断したりする前頭前野が
「ストップ!」とブレーキをかけてくれるからです。
しかし、前頭前野が衰えるとブレーキが効きにくくなり、ちょっとしたことでカッとなったり、
つい衝動的な言葉を口に出してしまったり、感情をコントロールできなくなってしまいます。
■周囲との「あつれき」を生む前頭前野の衰え
他人の気持ちを理解したり、状況に応じて適切な行動を選んだりするのも前頭前野です。
友人が落ち込んでいるときに「今はそっとしておこう」と気づけるのは
前頭前野のおかげなのです。
しかし、機能が低下すると、相手の気持ちを読み取るのが難しくなり、
つい空気を読まずに発言したり、頑固になって自分の意見にこだわったりしがちになります。
それが原因で周囲との小さな衝突を起こすこともあります。
記憶や注意力も前頭前野が支えています。
予定を覚えておく、話を聞きながら要点を整理する、といった能力が衰えると、
物事をスムーズに進められず、イライラが募ることも。
頭の中で整理整頓していた引き出しが乱雑になって、
必要なものをすぐに見つけられなくなるような感覚です。
脳の偏りによる現象はこれにとどまりません。
前頭前野は、新しい状況に適応したり、
異なる視点を取り入れたりする柔軟な思考もつかさどっています。
新しいスマホの使い方を覚えたり、急な予定変更に落ち着いて対応できたりするのは、
前頭前野が機能しているからです。
しかし機能が低下すると、考え方が硬直し、いつもと同じやり方にこだわり、
変化を受け入れるのが難しくなります。
家族が新しい提案をしてきても「今までのやり方でいい」と頑なに拒否したり、
些細な変化にイライラしたり。それが、感情の波をさらに大きくすることもあります。
前頭前野は複数の選択肢から最適なものを選んだり、
タスクの優先順位を決めたりする判断力も支えています。
忙しい日に「まずこれをやって、次にあれをしよう」と計画を立てるのは、前頭前野の仕事。
しかし、この機能が低下すると、何から手をつければいいのか迷ったり、
重要ではないことに時間をかけすぎたりするようになります。
物事が思うように進まずにストレスがたまり
「なんでこんな簡単なことができない!」と自分や周囲に怒りを向けることもあります。
さらに、自己モニタリングの能力も前頭前野が担っています。
自分の発言や行動を客観的に見て、「これで大丈夫かな?」とチェックする力です。
この力が弱まると、場にそぐわない発言をしたり、
冗談が度を越してしまったりすることもあります。
■機能低下による「老化のサイン」は多岐にわたる
意欲やモチベーションも前頭前野の重要な役割です。
新しい趣味を始めたり、毎日運動を続けたりするなど、
「やる気スイッチ」を入れるのはこの領域。
何事にも無気力になったり、物事を始めるのが億劫になったりしていたら、
前頭前野が衰えているのかもしれません。
時間管理や展望記憶も前頭前野です。
展望記憶は「午後3時に病院の予約がある」「夕飯の買い物を忘れないように」と
予定を覚えておく能力で、衰えると約束を忘れたり、
予定を立てても実行できなかったりすることが多くなります。
複雑な問題解決も前頭前野の得意分野です。
例えば、旅行の計画を立てるとき、
予算や日程、移動手段を総合的に考えるのはこの領域の仕事。
しかし、この能力が低下すると、複雑なタスクに圧倒されやすくなり、
途中で投げ出したくなったりします。
「面倒なことはやりたくない!」と思うようになったら要注意です。
脳の司令塔といわれるだけに、前頭前野の機能低下による老化のサインは多岐にわたります。

