○ウォーキング養生○
ウォーキングは体に負担がかかりにくい有酸素運動として、
幅広い世代に有効とされる健康法。
このウォーキングの効果を東洋医学の視点で分析すると、
次のように「五臓(ごぞう=体の機能を大きく5つに分けた東洋医学の考え方)」の
肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)
すべての働きを高める効果が期待できます。
●肝の働きがよくなる=イライラ改善
肝には体内の「気=エネルギー」を全身にめぐらせる働きがありますが、
この働きはストレスを受けると低下して気が滞りやすくなり、
イライラ、怒りっぽくなる、精神の不安定、胃腸の不調、肩こりなどの原因に。
歩くと肝の気をめぐらせる働きが促進され、
気の滞りも緩和してイライラなどがやわらぎます。
●心の働きがよくなる=血行促進、精神安定
心の主な働きは「血≒血液)」を全身にめぐらせることですが、
ウォーキングをすると「第2の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉が活動して
血流を促進し、心の働きを助けます。
心には精神を安定させる働きもあるので、
心の働きが高まると不安感や憂うつ感をやわらげるサポートにも。
また、ウォーキングは多くの酸素をとり入れることができる有酸素運動ですが、
東洋医学では酸素は「清気」と呼ばれ、体内に吸い込まれた清気は
心のエネルギーに変わるため、心の働きを充実させることにもつながります。
●脾の働きがよくなる=胃腸が整う
脾とは胃腸の消化吸収機能に相当するもので、
東洋医学では脾は手足と深くつながっていると考えられています。
ウォーキングによって手足をよく動かすことで、
脾の働きがよくなり、消化吸収や水分代謝が高まります。
●肺の働きがよくなる=エネルギーが充実
清気が肺によって吸い込まれると、そこから体のエネルギーとなる気が生成されて
体じゅうをめぐると考えられています。
歩くことで肺が気を生成して体じゅうへとめぐらせる働きが高まり、
この気の流れが血流も整えます。
●腎の働きがよくなる=老化防止、脳の活性化
ウォーキングが骨を刺激して骨を強くすることは現代医学でも証明されていますが、
東洋医学では、骨は五臓の腎とのつながりが深く、
歩くと骨が鍛えられて腎の働きを活性化させると考えられています。
腎は生命力を蓄える場所であり、
その働きを高めることはアンチエイジングに直結するほか
脳との関わりも深いため脳の活性化にもつながります。
このようにウォーキングは気軽にできて五臓がいっぺんに元気になる、
極めて効率的な養生法。
無理なく楽しみながら全身をリフレッシュできる運動と言えます。
■「ウォーキング養生」をより効果的にする歩き方
ウォーキング養生の効果をより高めるためには、歩き方にもコツがあります。
体調や気分に合わせて、歩き方をアレンジしてみてください。
●遠くの景色を眺めながら歩く
見晴らしのいい場所で、できるだけ遠くの木々や空、
山などに視線を向けながら歩いてみましょう。
このとき、特定の何かを凝視するのではなく、視界全体をぼんやりと眺めるように。
目は肝と深くつながっているため、目の筋肉をリラックスさせながら歩くと、
肝の働きをよりよくする効果が期待できます。
特にストレスがたまっているときや、気分が落ち込んでいるときなどにおすすめ。
●香りを感じながら歩く
バラ、すずらん、つつじ、藤など、5月はかぐわしい花が咲き誇る季節。
また、新緑のさわやかな香りや、雨上がりの土の香りなども感じられるときです。
こうした香りをゆっくりと楽しみながら歩いてみましょう。
香りには気のめぐりをよくする作用や、水分代謝を促す作用があるので、
むくみや体の重だるさ、消化不良、食欲不振などが気になるときに適しています。
●呼吸に合わせて歩く
深くゆったりとした呼吸に合わせて歩いてみてください。
口から息を細く長く吐き出しながら4歩歩き、鼻から空気を吸い込みながら3歩歩く、
というように、呼吸と歩くペースのリズムを決めるといいでしょう。
息を吸うときは、おへその5~10cmほど下にある「丹田」まで吸い込むようなイメージで。
呼吸を意識することで上半身に集まりがちな気が、足元へと落ち着くので、
のぼせが気になるときや、そわそわして落ち着かない気分のときなどにいいでしょう。
●腕を後ろに引いて歩く
歩くときに腕を前に振るのではなく、後ろに引くように意識して歩くと
胸が開いて心の働きがスムーズになり呼吸も深くなります。
また、胸の中央にある「膻中(だんちゅう)」というツボを開くこともでき、
肺の働きを高める効果も期待できます。
前向きな気分になりたいときなどにおすすめ。
歩きながら自然を意識したり、自分の体を意識したり。
忙しさで二の次になっていた自分のこころと体をとり戻す時間となるはずです。

