◆脂肪肝を放っていると「慢性腎臓病」になる◆
肝臓と腎臓。
このふたつは一見まったく違う役割を果たしているように見えますが、
じつはお互いに深くつながり合い、協力し合いながら
人体を運営している“兄弟臓器”です。
「肝腎要」の言葉通り、このふたつの臓器の機能を守ることは、
人が健康を維持するうえで最重要のカギになると言っていいでしょう。
しかし、肝臓と腎臓は両方とも「沈黙の臓器」
日々の過剰労働で疲弊していても何ひとつ症状を現わさない“沈黙兄弟”です。
そのため、気づかないうちにいつの間にか
肝機能や腎機能を悪化させてしまう人が後を絶ちません。
しかも、両者の機能悪化が進むと、糖尿病、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、
脳血管障害といった重大な病気のリスクも大きく高まることになるのです。
こうしたリスクを避けるには、早い段階から肝臓と腎臓をセットでケアして
機能を回復させていく姿勢が不可欠。
生きて活動するために必要なものを血液を通して体内に入れているのが肝臓であり、
不要なものを血液から尿にして体外に出しているのが腎臓。
このふたつの臓器が「ひとつながり」となって
「出し入れ」のミッションをこなしているからこそ、
わたしたちは日々生命活動を営んでいられるのです。
また、このふたつの臓器は機能の好不調も連鎖します。
肝臓が悪くなれば腎臓も悪くなっていき、肝臓がよくなれば腎臓もよくなっていく。
肝臓のトラブルが腎臓の病気へとつながっていく、
その最初の発端となるのは「脂肪肝」です。
脂肪肝は、肝臓の肝細胞に中性脂肪がたまりすぎて発生する疾患。
推定患者数4000万人と言われ、たいへん多くの人に蔓延している病気です。
もっとも、これまで脂肪肝はどちらかというと「たいしたことのない病気」
「誰でもかかる重要度の低い病気」と見なされてきました。
でも、違ったのです。近年の世界の医療界では、
この脂肪肝こそが「あらゆる病気の出発点である」という見方が主流になっています。
すなわち、この疾患を放っていると、糖尿病、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、
脳血管障害、がんなどの多くの重大な病気を招く原因になることが分かってきたのです。
そして、それは慢性腎臓病においても例外ではなく、
脂肪肝を放っていると、ゆくゆく腎臓の機能が蝕まれていくケースが
非常に多いことも明らかになってきたわけです。
■糖質過多の生活が“万病の芽”を大きくする
原因は「糖質の摂りすぎ」にあります。
糖質は、体内に入るとまずブドウ糖に分解され、血中に入って全身を巡り、
細胞のエネルギーとして活用されます。
ただ、食事で過剰な量の糖質が入ってくると、血液中に多くのブドウ糖があふれ、
血糖値が上昇して高血糖状態となります。
すると、血糖値の上昇を合図に分泌されるのがインスリンです。
インスリンは「血糖値を下げるホルモン」として知られていますが、
じつは体内の余分なブドウ糖を中性脂肪に変換するのを促す働きがあります。
つまり、普段から糖質を過剰摂取していると、その都度インスリンが分泌されて
次々に余剰ブドウ糖が中性脂肪に変えられていくことになる。
そして、それらの中性脂肪が次から次に肝臓へ送られて、
脂肪肝を形成していくことになるわけです。
現代では、主食のごはんやパン、麺類だけでなく、甘い飲料、スナック菓子、
調味料など非常に多くの食品に糖質が含まれています。
そのため、自分でも気づかないまま
糖質を過剰に摂取してしまっている人が少なくありません。
知らず知らずのうちに糖質過剰になって、知らず知らずのうちに
脂肪肝という病気を育ててしまっている可能性があることになります。
脂肪肝は万病のもと。
その流れをおおまかに説明すると、次のようになります。
脂肪肝が進行する
↓
脂肪肝だけでなく、内臓脂肪の蓄積も進む。血糖値や血圧が上昇
↓
(脂肪肝放置から約10年後)糖尿病になる
↓
糖尿病や高血圧が進み、10~15年の歳月をかけてじわじわと腎機能が低下
↓
慢性腎臓病になる
つまり、脂肪肝を放っているとその10年後くらいに糖尿病になり、
糖尿病の治療や対策を怠っていると、10~15年かけて腎機能悪化が進み、
慢性腎臓病への道をたどることになるわけです。
