○香りをかぐことがもたらす効能○
香りをかぐことで、さまざまな感情を抱きます。
おなかがすくこともあるでしょうし、リラックスした気分になったり、
懐かしい気持ちになったりすることもあるかもしれません。
それは、香りの中にある「香気成分」が、私たちの脳に作用して、
記憶や感情を呼び起こすから。
「香り」は目で見ることができませんが、
実際は、香気成分と呼ばれるとても小さな分子でできていて、
それらが脳に作用することによって、
私たちの心や身体に様々な影響を与えているのです。
特筆すべきは、香気成分のなかには「心や身体のバランスを維持」する
栄養素のような機能を持つものがあるらしいということ。
つまり健康的な食事をとるのと同じように「香り」を吸うことで
命のバランスを整える栄養因子を取り入れられるというのです。
近年の研究で、血管に作用する香気成分があることが明らかになりました。
それが「β‐カリオフィレン」
体内に取り入れることで、血管を元気にしてくれる効果があるのです。
まだまだ新しい分野の発見であり、いまなお研究が続けられている過程です。
とはいえ最新の研究結果がベースになっているだけに、
気にかけておく価値はあります。
なかでも興味深く感じたのは、香りとストレスの関係性です。
いい香りをかぐと気持ちが安らぐのは、リラックスできる=ストレス解消に役立つということ。
そして、そこには自律神経が関係しているそうです。
自律神経とは、呼吸や心拍、消化、代謝、排泄といった
さまざまな身体機能を自動で調整してくれる神経。
気温に合わせて体温を調整したり、食事の際に胃腸に消化活動を促すなど、
生命活動をサポートしながら体を最適な状態に保ってくれています。
自律神経は、交感神経と副交感神経によって構成されています。
活動しているときや緊張しているときは交感神経が、
リラックスしているときは副交感神経が優位になっており、
両者がバランスを保ちながら身体を機能させています。
多くの場合、私たちがストレスを感じるときは交感神経が優位になっていて
恐怖や不安、極度の緊張を感じると、自律神経をコントロールしている脳の「視床下部」から
さまざまなホルモンが分泌され、交感神経が活発に働きかけます。
もしものときに備えて、身体が臨戦体制を整えているわけです。
しかしストレス状態が長く続くと、自律神経がうまく働かなくなって、
体のあちこちに不調が出てきます。
たとえば、めまい、不眠、食欲不振、胃痛、動悸、疲労感などの症状が
現れやすくなります。
そうしたとき、香りが心強いアイテムになってくれます。
香りの中には副交感神経の働きを活発にするものがあり、それを取り入れることで、
交感神経の過剰な稼動を抑えてくれる効果が期待できるのです。
よく知られているのが、ラベンダーに含まれる「酢酸リナリル」という香気成分。
酢酸リナリルには交感神経の緊張を抑え、
副交感神経を活性化させる作用があることが、
多くの研究結果からわかっているそうです。
よい香りをかぐとリラックスできるのは、決して気のせいではなく、
神経系のメカニズムによるものだということです。
香りが人体に与える影響についての研究は、本格的に始まってからはまだ日が浅いので
完全に立証されていないものもあるようです。
とはいえラベンダーのように、少しずつその効果が
科学的に立証されてきているものがあるのもまた事実。
香りの情報が私たちの脳に直接届き、
気分や感情になんらかの影響を及ぼすことは間違いないのです。
香りをかいで心地よさを感じるとしたら、それは純粋に評価できること。
今後の研究結果に期待を寄せながら、
いまは心地よい香りを存分に楽しむべきなのかもしれません。
少なくともそうすれば、ポジティブな気分でいられる。
それは間違いないのですから。
