◆『脂肪肝』が悪化するNGな食習慣◆
ブドウやカキ、リンゴなど、秋は旬の果物が多く、
スーパーの店頭にも鮮やかな色とりどりの果実が並びます。
季節の恵みとして親しまれ、ビタミンや抗酸化成分、食物繊維も豊富なことから、
つい「体に良い」と安心して食べてしまう人も多いのではないでしょうか。
けれど実は、脂肪肝や中性脂肪が気になる人にとっては
注意すべき季節でもあるのです。
■肝臓で直接“脂肪”になる果糖
果糖は、ブドウ糖と並ぶ代表的な糖質ですが、
その代謝のされ方には大きな違いがあります。
ブドウ糖が筋肉や脳でも利用されるのに対し、
果糖はほぼすべてが肝臓で代謝されるという特徴も。
小腸で吸収された果糖は門脈を通じて肝臓へ直行し、
インスリンを介さずに処理されます。
この過程で、果糖は脂肪酸の合成を促し、肝臓の中に脂肪として蓄積されやすくなります。
つまり、果糖を摂りすぎると、
肝臓の中に「脂肪滴」がたまり、脂肪肝の進行を招くのです。
さらに果糖から生まれた脂肪酸は、グリセロールと結びついて
中性脂肪となり、VLDL(超低密度リポタンパク質)血液中に放出されます。
これが続くと、血中の中性脂肪濃度が上昇し、
動脈硬化や膵炎、インスリン抵抗性といったリスクも。
脂肪肝や高トリグリセリド血症は初期症状が出にくいため、
気づいたときには進行していた…というケースも少なくありません。
とはいえ、秋の果物をすべて避ける必要はありません。
大切なのは「食べる量とタイミングを意識すること」です。
果物の摂取量の目安は、1日およそ100〜150gほど。
たとえば中サイズのリンゴなら1個、ブドウなら一房の1/3ほどが適量とされています。
また、果糖はエネルギーとして利用されるタイミングが限られています。
摂るなら、朝から昼の時間帯がベスト。
体が活動モードにある時間帯にエネルギーとして使われやすく、
脂肪として蓄積されにくいのです。
逆に、夜遅くに食べる果物は、消費されずに
肝臓で脂肪として蓄積されるリスクが高まるため、避けたほうがよいでしょう。
ジュースやスムージーなど、液体で果物を摂取する場合にも注意が必要です。
液体状では食物繊維が取り除かれていることが多く、
果糖の吸収が非常に早まります。
これにより肝臓に急激な負荷がかかり、脂肪の合成が加速してしまうのです。
さらに、果物を選ぶときにも工夫ができます。
果糖の含有量が少ないものを選ぶことで、
肝臓への負担をやわらげることができるのです。
たとえば、レモンやライム、ラズベリー、イチゴ、グレープフルーツなどは、
果糖が比較的少なく、酸味と食物繊維が豊富なため代謝のサポートにも役立ちます。
秋の果物は皮ごと食べることも多いため、
農薬や保存料の使用が少ないものを選ぶこともポイント。
品質の確かなものを選ぶことは、肝臓へのやさしさにもつながります。
●体への“優しい向き合い方”を
秋は体を整え冬に備える準備の季節。
だからこそ、季節の恵みをただ楽しむだけでなく、
その“甘さの裏にあるリスク”にも少しだけ目を向けてみましょう。
果糖の代謝が肝臓に与える影響を知っておけば、果物を我慢する必要はありません。
1日の適量を守り、エネルギーとして活かしやすい時間帯に食べる。
なるべく果糖の少ない果物を選ぶ。
たったそれだけで、肝臓にやさしい秋の食卓をつくることができるのです。
ほんの少しの工夫が、脂肪肝や中性脂肪のリスクを防ぎ、
長い目で見たときの健康に大きな差を生みます。
