◆肝がんが進行すると現れる症状◆
肝臓は、右上腹部にある大きな臓器です。
栄養素の代謝・胆汁の生成・鉄の貯蔵・解毒作用など、
さまざまな働きがあり「体内の大化学工場」ともよべる臓器です。
■肝がん(肝細胞がん)とは
肝がんは、肝臓に発生するがんです。
肝臓に慢性的な炎症が続く(慢性肝炎)と、
肝臓の細胞が繊維化して硬くなっていきます。いわゆる「肝硬変」です。
このように"肝臓の炎症"や"肝硬変"が進行すると、
発がん性が高くなり、肝がんが発生します。
■肝がんの原因は
肝がんの発症リスクが高くなってしまう"肝炎"にはいくつか種類があります。
●肝炎ウイルス(主にB型・C型)の感染から起こる「ウイルス性肝炎」
●お酒の飲み過ぎから起こる「アルコール性脂肪肝炎」
●肥満などから起こる「非アルコール性脂肪肝炎」
●免疫の異常から起こる「自己免疫性肝炎」などがあります。
特に多いのはB型・C型肝炎ウイルスの感染です。
■肝がんになると現れる症状とは
肝臓は「沈黙の臓器」とよばれていて、
肝機能が大きく低下するまで自覚症状が現れにくいです。
進行するとどんな症状が現れるのか?その症状を7つご紹介。
①黄疸
肝臓は「胆汁」という、脂肪を消化しやすくする液体をつくっています。
そして、肝機能の低下すると、胆汁の流れが悪くなり、
成分の一部(ビリルビン)が流出し「黄疸」が現れます。
②女性化乳房
肝臓は、エストロゲン(女性ホルモン)などのホルモンを分解する役割があります。
そのなかで、肝機能が低下すると、エストロゲンの分解ができず、
体内に増えてしまいます。
男性の乳房が発育してくる「女性化乳房」が起こります。
③手掌紅斑
肝機能が低下すると体内にエストロゲンが増えます。
これにより、手のひらの血管が拡張して、赤い斑点が現れる「手掌紅斑」が起こります。
④むくみ(浮腫)
肝臓はアルブミンなどの蛋白を合成しています。
そして、肝機能の低下によりアルブミンの合成が低下すると、
体内の浸透圧に変化が起こり、水分バランスが乱れて、むくみが起こります。
また、血流が悪くなることから、お腹に水分が溜まり、
お腹が膨らんでくる「腹水」が起こることもあります。
⑤出血傾向
肝臓は、出血をしたときに血液を固める物質(血液凝固因子)をつくっています。
しかし、肝機能が低下すると、そういった物質の合成が低下するため、
鼻血が出やすい・歯茎から血が出るなどの症状(出血傾向)が現れます。
⑥肝性脳症
肝臓は、アンモニアなどの有毒な物質を「解毒する」という働きがあります。
そして、肝機能の低下により解毒することができず、
アンモニアが脳に到達すると「肝性脳症」が起こります。
肝性脳症では、頭がぼーっとする・怒りっぽくなるなど、さまざまな症状が現れます。
⑦吐血・下血
肝機能が低下すると、肝臓に血液を運ぶ血管の流れが悪くなります。
すると、周囲の血管が腫れてコブ(食道・胃静脈瘤)のようになってしまうことがあり、
これが破裂すると、吐血や下血が起こります。
肝臓は「沈黙の臓器」といわれていて、自覚症状が現れている頃には
既に進行している可能性が高いので注意しましょう。
また、定期的に健康診断をうけ、
"肝機能低下のサイン"を見逃さないようにすることも大切です。