ラヴェル ピアノ協奏曲 ト長調 第3楽章
ガーシュウィンがラプソディー・イン・ブルーを作曲したのは1924年。ジャズ等を取り入れた画期的なこの作品の誕生から7年後の1931年に、同じような趣向を持ったラヴェルのピアノ協奏曲ト長調は作曲されました。両者を並べて比較してみると、形式の違いなどはあるとはいえ、ラヴェルがガーシュウィンを意識したのは間違いないように感じます。ト長調作曲の3年程前、ラヴェルはアメリカ演奏旅行を行っています。その際、ラプソディー・イン・ブルーを生んだアメリカの音楽的空気を、直にその肌で感じたのではないでしょうか?だから次の演奏旅行用として、ト長調はあのような作品に仕上がったのだと思います。1928年、ガーシュウィンは渡欧した際、ラヴェルに作曲の教えを乞いています。しかしラヴェルは「あなたは既に一流のガーシュウィンです。二流のラヴェルになる必要はありません。」と申し出を断っています。ラヴェルが作曲家としてのガーシュウィンを認めていたことを示す逸話です。ところで第3楽章といえば必ず話題に上るのが、登場する旋律がゴジラのテーマと同じではないか?という話です。ゴジラ作曲者の伊福部昭さんは大のラヴェルファンでした。ゴジラは1954年の作曲ですが、それ以前の作品にも同じ旋律は顔を出していて、それらがラヴェルの影 響であった可能性はかなり高いとみられます。しかし音楽として伝わってくるものの質はまったく違っているので、伊福部さんの中で咀嚼されたラヴェルがオリジナルとして再生されたとみるべきでしょう。