オーディオが趣味と言いながらも、その情報源はもっぱら季刊雑誌の「ステレオ・サウンド」のみの私ですが、2012年の冬号以降は、デジタル版でのみ購入しています。
広告の写真も美しい雑誌ですが、季刊誌と言うこともあってそこそこ重く、通勤電車の中でしか本を読まない私には、持ち歩くには疲れる雑誌だったからです。

3月1日発売の最新号も、デジタル版を購入して目を通していたのですが、何と今回は付録として鈴木雅明&BCJのバッハ教会カンタータ選集のSACDハイブリッド盤が付随しているとの事。(勿論デジタル版にはそんなおまけはありません)
記事を読むと夏には55巻のSACDが全集としてリリースされるらしく、バッハの教会カンタータを殆ど聴いていない私には興味のある話です。

しかし55枚ものSACDが、万が一にでも「はずれ」だったりしては目も当てられない結果となりますので、付録欲しさに紙媒体の同じものを購入しました。
少し勿体ないかとも思いましたが、SACD1枚を購入したと思えば余り損をした気にもなりません。

さて、そのバッハの教会カンタータ選集は後日聴きますが、昨今のオーディオ機器の超絶的なインフレ傾向には、私もかなり疑問を感じます。
最新号に掲載されているオーディオ機器に、そんな超弩級の製品は実は多くはないのですが、前号の年間オーディオ・グランプリを特集している誌面では、軽く1千万円を越える機器がずらりと並び、2~300万円の機器だと安い部類に感じる次第です。
ここまで来ると「憧れ」の世界ではなく、「疎遠な」世界と感じてしまいます。

あくまでも私的な意見ですが、昔から私の憧れるオーディオ生活とは「年収に相当するオーディオを揃えて音楽を堪能する」でした。
SACDプレイヤー、プリ・アンプ、パワー・アンプ、スピーカーは元より、ケーブル類などを含んだ総額で年収程度の機器に囲まれれば幸せだろうなと...。

単品コンポーネントの価格が1千万円を越える機器が全く珍しくもないのが最近の傾向、このクラスを揃えるなど、普通のサラリーマンには出来るはずもありません。
例えば、私が現在使用しているTannoyのCanterbury/SEは、昨年末にCanterbury/GRとしてモデルチェンジしましたが、その税抜き定価は2,500千円(ペア)から2,900千円(ペア)へと大きく値上がりしています。
為替の問題や中味のグレードアップもあるのでしょう、しかしそれでもCanterburyでほぼ300万円とは、ちょっと行き過ぎではないかと思ってしまいます。

因みにCanterburyがCanterbury15として現在の姿で発売されたのは1988年で、ペア1,700千円でした。
その頃のサラリーマンの平均年収はとあるサイトによると3,847千円。
別のサイトになるので、統一された収集データとは言えませんが、2012年のサラリーマンの平均年収は4,090千円で、106.1%の伸びでしかないのですが、Canterburyの価格は170.6%にもなっています。

1988年当時、平均年収に占めるCanterbury15の価格比率は44.2%で、これならまだCDプレイヤーやアンプ類を含めても、当時の平均年収レベルでハイエンドと言われるオーディオを手に入れる事は夢ではあっても手が届く範囲であり、決して疎遠な世界ではないと思えます。

しかし2012年の平均年収に占めるCanterbury/GRの価格比率は、実に71.8%にもなり、残りの3割に満たないお金でCanterburyに見合う他のコンポーネント、SACDプレイヤー、アンプ類を揃えるのはほぼ無理な相談です。(価格が高騰しているのはスピーカーだけではないのですから)

確かにオーディオは贅沢な趣味です。
お金が在ればあるだけ幸せになれる事も、オーディオの世界では真実だと思います。
そうだとしても、昨今の機器の価格設定は、オーディオを「憧れ」から「疎遠」へと変貌させつつあるように感じます。

完全に愚痴でしかないのですが...。