Andrea Bacchetti (p)

Scarlatti, Domenico
ソナタ ハ短調 K.174
ソナタ ト長調 K.171
ソナタ ニ短調 K.176
ソナタ ハ長調 K.170
ソナタ ホ長調 K.162
ソナタ ニ長調 K.164
ソナタ イ短調 K.149
ソナタ 変ロ長調 K.154
ソナタ イ短調 K.148
ソナタ 変ロ長調 K.172
Soler
ソナタ ハ長調
ソナタ ニ長調
ソナタ 変ニ長調
ソナタ ホ長調

2012年録音
レーベル:RCA

演奏 ☆☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

HMVの解説に拠れば、『バケッティ自身が、オリジナルの手稿譜から新たに編纂した楽譜に基づいて演奏』したスカルラッティだそうです。
10曲の単一楽章のソナタは、最初のK.174が淡々とした印象があるので、少し肩すかしかと思われましたが、バケッティのピアノは、そんな淡々とした楽曲でも内省的な深さを感じさせますし、音色は多彩、左右の弾き分けも見事と言えます。
華麗すぎたと言えるバッハのゴルトベルク変更曲での演奏では感じられなかったのですが、この内面性の深さはバケッティの本質なのかも知れませんし、ゆくゆくはアンドラーシュ・シフの様な素晴らしいピアニストになるのではと想いながら聴いていました。
実際に録音された順番は分かりませんが、このアルバムのスカルラッティの最後の楽曲、K.172では、バケッティもかなりの熱演で、時々うなり声というか、興に乗った彼の声が実際に聞こえて来ます。

アントニオ・ソレール:Soler Ramos, Antonio Francisco Javier José (1729-1783)も初めて聴く作曲家ですが、ハイドンとほぼ同世代なんですね。(ハイドンは1731年生まれ)
スカルラッティと比べると、かなり曲想が古典派然としていますし、部分的にはロマン派の香りさえしますが、この楽曲たちもかなり楽しめますし、バケッティの楽しむ姿はスカルラッティ以上かも知れません。

録音 ☆☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)

バケッティも確かファツィオリを使用していたはずですが、クレジット等には記載がありませんので、確かではありません。
仮にファツィオリだとしても、ヒューイットとは質の異なる美しさでを印象づける録音です。
繊細で大胆、少し相反する表現ですが、バケッティの幅の広い表現をとても見事に捉えた録音だと感じられ、淡々と弾く場面では温度感もやや低く、力強く弾く時には確かな熱気が感じられます。
音の見通し感は抜群で、左右の旋律が視覚的に掴めるような明瞭さは、すっきりとした音の輪郭を伴って現れます。
低音の深みと太さを感じる響きにも、音響的な愉悦感が味わえる録音です。

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