2013年 3月17日(日)
開場14:15 開演15:00
兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

下野 竜也 指揮

Vaughan Williams - オーボエと弦楽のための協奏曲 イ短調
Céline Moinet (ob)
Bruckner - 交響曲 第 9番 ニ短調

PACの今シーズンの定演も佳境に入って来ましたね。
3日目のシーズンチケットをとっているので、今日もお疲れがあるのかと不安にも思いましたが、前回とは違い、疲れを余り感じさせない素晴らしい定演だったと思います。

ヴォーン=ウィリアムスの楽曲は、如何にも彼らしい長閑なスコットランド(何故か私は行ったこともないのに、イギリスではなく、少し肌寒さを感じさせるようなスコットランドを連想するのですが)の田園風景を想わせる楽曲です。
1984年生まれの美貌のオーボエ奏者、セリーヌ・モワネの奏でる音色は、どこか温かみがあり、木質系の穏やかさを感じましたし、オケとの息もピッタリ合っていたと思います。
ただ、ちょっとヴォーン=ウィリアムスの楽曲は、私には少し冗長に感じるところがあって、決して長い楽曲ではない(プログラムには約19分と記載されていました)のですが、眠気を催す場面も...。
アンコールには
J. S. Bach - 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV 1013よりサラバンド
を演奏してくれました。
きっと高い技術をお持ちだろうに、それをこれ見よがしに披露することもない姿勢には、今後の活躍を期待したいと思わせるに十分な演奏でした。

そしてメインのブルックナー、それも9番。
しかし私にとって下野氏は「嫌いな指揮者」です...。
それは過去に彼が大フィルの定演でブルックナーの1番を振った時、ブルックナーの奥深さや高みを全く理解していない駄目指揮者だと感じたからです。
ですので、はっきりと覚悟して(悪い意味です)聴き始めたのですが、意外や意外、過去の経験が何かの間違いだったかのような素晴らしい演奏でした。
全体的にはゆっくり目のテンポで、一音一音を大切に、そして丁寧に織りなす演奏には、ブルックナーの真髄にまでは到達できていないのかも知れませんが、説得力のある展開が感じられました。
金管群に一流の客演者を迎えていた事もありますが、オケの響きも立派で、多少の綻びはあったものの、「下野嫌い」の私でも、十分納得できるブルックナーでした。

下野氏の指揮スタイルは、全く感情移入がされていないのではないかと思えるような淡々としたもので、「見ている限り」では面白くはありません。
しかし目を閉じて聴いていると、音色こそ世界に名だたる一流オケと比べると聴き劣りは否めないものの、その奏でる音楽には、壮大なだけではないブルックナーの第9交響曲の素晴らしさがしっかりと伝わってきます。
意地悪な私は、何処かに粗がないかを最初は探ってもいましたし、それが全くなかったわけではありません。
しかし終演後には長く盛大な拍手を贈るに相応しい演奏だっと思います。
聴衆の拍手も、下野氏の腕が完全に下がってから盛大に沸き起こるという好ましいものでした。
コンサートでブルックナーの9番を聴いたことは数度ありますが、今回の演奏は私にとっては間違いなく一番素晴らしい経験でした。