cogito ergo sum Valentin Berlinsky Quartet


Shostakovich - 弦楽四重奏曲 第7番 嬰ヘ短調 作品108

Shostakovich - 弦楽四重奏曲 第8番 ハ短調 作品110

Beethoven - 弦楽四重奏曲 第 7番 へ長調 作品59-1


2010年録音

レーベル:Avie






演奏 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の演奏では、金字塔的な録音を残しているボロディン四重奏団のチェリストの名を戴いたチューリッヒを本拠とするワレンティン・ベルリンスキー四重奏団。

彼らの演奏は初めて聴きましたが、とてもユニークな演奏だと思います。

ヴァイオリンの二人はチューリッヒ・オペラ管弦楽団のコンサートマスター、ヴィオリスト、チェリストはハレ管の首席奏者らしく、演奏を聴いていてもその実力の高さは感じられます。

ショスタコーヴィチでは、ppとffのみで演奏しているかのような強弱の落差が激しく、結果的にはショスタコーヴィチの楽曲が持つ神秘的な側面、或いは少し不気味な側面を強調するかのようです。

奇異とまでは言えなくとも、かなり凝った解釈だと思いますので、一般的ではないとも言えますが、私は興味深く聴く事が出来ましたし、弱奏部分での繊細さが技術の確かさの表れとも感じます。

その分、強奏部分では少し思い切りすぎの印象があり、ちょっと乱暴さも否めませんが、ユニークです。

ベートーヴェンでの演奏も、強弱の対比が明確ですが、ショスタコーヴィチほど極端でもなく、ショスタコーヴィチに比べると音数が多い古典派の楽曲ですので、違和感はかなり少なく、上手い演奏だと感じます。


録音 ☆☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


とても長い残響が特徴的で、まるで漆塗りの舞台で演奏しているかのようなヴィジュアル的な印象を抱く録音で、滴るような潤い感に満ちています。

定位も殊の外明確で、左から第1、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラがぴたっと定まった音場です。

ただ第1ヴァイオリンは左のスピーカーから、ヴィオラは右のスピーカーからしか聴こえてこない印象で、結果的には4人の位置関係が少し不自然に離れて存在しているように聴こえます。

ベートーヴェンの楽曲では、その定位も少し自然な範囲になり、ffで演奏する場を除けば、とても滑らかで艶やかな響きが魅力的です。

やはり残響の多さからか、やや音の輪郭は甘めとも言え、音の立ち上がりや粒立ちも悪くはないのですが、鮮烈とまでは言えないかも知れません。


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