cogito ergo sum Evelyne Brancart (p)


12の練習曲 作品10

12の練習曲 作品25


2003年録音(ライヴ)

レーベル:Delos


ベルギー生まれの女性ピアニスト、エヴリーン・ブランカールは、プロはだしの素敵なフランス料理を作ることでも知られているらしく、24の練習曲の演奏CDと、24の料理のレシピが記載されたDataCDの2枚組というユニークなアルバムです。


演奏 ☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


第1曲目から力強いタッチで始まる演奏には、テクニックの達者さを感じさせるヴィルトゥオーソな面が満載で、悪い意味ではないのですが「女性らしさ」を感じさせないものがあります。

実は最終楽曲後の拍手を聴くまで、ライヴとは気付かず聴いていたのですが、どんな早いパッセージも軽々と弾きこなしている印象で、技術的な完成度の高さはライヴでも全く問題のないレベルです。

その分、例え練習曲集だとしても、ショパンのリリカルな面は押え気味に聴こえます。

全体に早目と思われるテンポ設定で、アゴーギク(テンポやリズムを意図的に変化させることで行う、音楽上の表現)を殆んど使わないスタイルには、ショパンの詩情性に溺れない強さを感じもします。

私としては詩情に満ちた薫り立つようなショパンを聴きたいとも思ったりしますが、これはこれで価値ある演奏なのかも知れません。


録音 ☆☆☆ (評価は5つ星が満点です)


残響は比較的長く、音の余韻に適度な潤い感を与えています。

中高域にはしっかりとした音の芯と粒立ちが明瞭ですが、低域には少し残響成分が輪郭を滲ませる結果に働いているようにも聴こえます。

ライヴとしては静寂感も殊のほか素晴らしいのですが、数ヵ所、明らかで大きめの「ガサッ」と言うノイズが入っていて、ライヴと知らずに聴いていたので、機器の不具合か、大きな虫がスピーカー後ろに入り込んだのかと不安に思ったほどです。

温度感は低い方だと思うのですが、それは演奏スタイルに拠るものかも知れません。


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