Playback Designs MPS-5  (税込定価:\2,625,000.-)


cogito ergo sum 次期SACDプレイヤーの候補、プレイバック・デザインズのMPS-5をお借りして自宅試聴しました。


見た目は2百万円もするとは思えない筐体で、高級感は殆んどありません。
ただ、再生時間の表示はかなり大きくて、赤く光るその文字は離れた聴取位置からでも読み取れます。最近のプレーヤーは時間表示が聴取位置からは読み取れないものが多いので、これは良いと思いました。
ただ、電源ボタンは背面にあって少し不便ですし、発熱量もかなり多いと思います。


雑誌などで評価の高いプレーヤーでしたので、期待値も高かったのですが、結果から申し上げれば私には余り魅力的とは言えない再生音です、音響的な凄さを全く感じさせない透明さは素晴らしいのでしょうが...。

まずは音場がほぼスピーカーの高さ+αでしか再現されず、全体的に低く定位する、つまり上方向への伸びやかさが展開されない印象で、十分な静寂感と奥行き感はあるものの、こじんまりした感触を否めません。


情報量は十分以上、CDやSACDから紡ぎ出していると思うのですが、彫の深さよりも全体の滑らかさ、柔らかさが際立つ再生で、音の粒立ちや切れ、立ち上がりには敢えてチューニングして丸めている感触があります。

勿論、変な丸め方ではなく、音楽を楽しむための十分な配慮のもとにチューニングされたと感じますが、結果、実在感や温度感、躍動感はかなり低く抑えられている印象です。


軽やかでジェントルな音楽再生で、聴き疲れを一切させないとも思えますが、楽器の質感や奏者の想いを伝えてくるような物ではなく、色彩感も低いため、かなりあっさりした水墨画の印象です。

軽やかなのに音に明るさを感じないのも不思議な感触です。


ジャズを聴いてみて何となく分かったのですが、MPS-5は良質なメローさを追求した結果の音造りと思います。

ジャズでも熱気や臨場感は低いのですが、品質の高い肩の凝らないメローさは、地味ながらもお洒落です。


ただ、全体的に面白みに欠けると言うのが私の印象で、価格が定価の1/5でも買わないと思います...。

LuxmanのD-08を更に高品位にジェントルに仕上げたような音造りですので、ふんわりと音楽をBGM的に流すにはかなり良いのかもしれませんが、そのための再生装置としては価格が余りにも高過ぎますね。


残念ながらMPS-5は私の好みとはかなり方向性の違う製品のようです。